黙して語らず、沈黙は金?言葉の省略を使って表現の緩急をつけよう


こんにちは。ボイストレーナーのでんすけ(@densuke_snail)です。

「いい詞を書く方法」シリーズ。
今回は、言葉を省略する、というテーマです。

・・・
・・・・・・・・

こういうことです!(何が



「言葉を省略する」くびき語法による緊張

言葉を省略する。
具体的に例を見たほうが早そうですね。

例えば、こんな感じ。

~~~~~~~~~~
みんな、自分で自分を殺して生きている
あるいは、僕も・・・
~~~~~~~~~~

という感じ。
この「・・・」のところに、本来何かが書かれているはずですが、
言葉を省略して、なにも書かれていません。

これが、省略する、ということ。
専門的にはくびき語法とも呼ぶそうですが。

省略せずに書くとこうですね。

~~~~~~~~~~
みんな、自分で自分を殺して生きている
あるいは、僕も、自分で自分を殺して生きている
~~~~~~~~~~

はい。
全部書いてしまうと単純に文章が長くなるのと、
読んでても冗長に感じてしまいますね。
せっかく、「自分で自分を殺して生きている」とちょっと衝撃的な言葉を使っているのに、
繰り返されていることによってその衝撃がすこし緩和されてしまっています。

「・・・」で省略することで、その衝撃を新鮮なまま保つことができる。
むしろ、「こんな恐ろしいこと口には出せないけど・・・」というニュアンスも持たせることができて、
より緊張感を生み出すこともなっているかと思います。

「言葉を省略する」くびき語法による想像

もうひとつ、別の例を見てみましょうか。

~~~~~~~~~~
君と出逢えて 君とここにいられて
本当に幸せに思うよ
今日という素敵な日に
僕は誓う───
~~~~~~~~~~

はい。なにやら幸せな様子ですね。
リア充かよ!

最後の「僕は誓う───」のところ、省略形です。くびき語法です。

何を誓うのか、そこまでは語られていません。
おそらく、「僕は誓う」の直後にスナイパーにでも打たれたのでしょう
おそらく、「幸せにするよ」、「結婚しよう」、「ずっと一緒にいよう」など、
その辺りの誓いが語られるはず。

このように、幸せな言葉を色々と想像させて、
ただ「幸せにする」と言うだけではない、
いろんな言葉の可能性を内包する省略です。

粋な言い方?をすると、「みなまで言うな」ということですね。

言葉を省略してまとめる

さてさて、もうひとつだけ。

~~~~~~~~~~
今日はお祭り、楽しもうじゃないか!
やきそば、わたがし、金魚すくい
りんごあめに、花火!
~~~~~~~~~~

はい。
「楽しもう」と冒頭に書いてあることで、
その後に列挙してるモノをすべて「楽しもう」と言っています。

「やきそばを楽しもう!わたがしも楽しもう!」などと
わざわざ全部に付けて回らなくてもわかる。
省略することで、意味はちゃんと通じつつ、
言葉を矢継ぎ早に連発する小気味よさが出る。
といった感じです。

省略しているのを明示するかどうか

先ほどまでの例で、省略しているかどうかを明示しているものとしていないものがありました。

「僕も・・・」「誓う───」
は、いずれも「・・・」や「───」を使って、省略してることを明示しています。

逆に、「やきそば、わたがし、金魚すくい」の例では、
省略しているとはどこにも書いていません。
「・・・」や「───」が書かれていませんので。

前半の二つ、明示している例でいうと、
ためらいや緊張感を出す、あるいは想像をかき立てるといった効果があります。

これが「・・・」を付けていないとこんな感じになります。

~~~~~~~~~~
みんな、自分で自分を殺して生きている
あるいは、僕も
~~~~~~~~~~

あれ、急に終わったけど・・・という感じ。

なんとなく省略されているのはわかりますが、
ちょっと投げっぱなしな感じがしませんか?

この投げっぱなし感がいい、とか、
冷徹な感じや緊張感をより高めるために「・・・」も付けずに終わる、
という方法はアリと言えばアリですが。
でも、ここは付けたほうが自然な感じがします。

「・・・」か「───」どちらがいいのかというと。
これはどちらでもいいと思うのですが、
僕個人的には、「・・・」の方がためらいや深い余韻を残しているっぽい印象を持っています。
「───」の方は、「もう、言わなくてもわかるよね?」という感じ。

これ、正解はあるのかな。。誰か教えてエライ人!

逆に、明らかに省略されていることが分かる場合や、
リズム感や語感の良さをくずしたくない場合は
「・・・」や「───」を付けない方がよいでしょう。

たとえば、いちいち「・・・」を付けていたりすると

~~~~~~~~~~
今日はお祭り、楽しもうじゃないか!
やきそば・・・、わたがし・・・、金魚すくい・・・
りんごあめに・・・、花火・・・!
~~~~~~~~~~

なに?楽しくないの?となります。
あるいは、なにか物思いにふけっているか。

~~~~~~~~~~
今日はお祭り
初デートの彼と、何を楽しもうかなぁ

やきそば・・・、わたがし・・・、金魚すくい・・・
りんごあめに・・・、花火・・・!
~~~~~~~~~~

こうするとしっくりきますかね。
「彼」とお祭りで何をしようか、
やきそばにー・・・わたがしにー・・・、
と一つずつ考えていってる感じです。

同じ「省略する」という手法でも、
それを明示するかしないかだけで、印象が変わってきます。

省略形「・・・」の正しい用法

ここはちょっと余談ですが。
「・・・」の正しい使い方について。

実は、「・・・」は本来的には間違いで、「」が正しいです。

正式名称を三点リーダーと言いますが、
」というひとつの文字が存在します。
僕がここまで使っていたのは、「・」を3つ並べた書き方です。

なんで「・・・」を使っていたかというと。
ひとつは、書くのが楽だからですw
また、「」の場合だと、
フォントによっては「…」な感じで中央に寄らず、下に付いてしまうように見えてしまうため、見栄えが変わってしまうことを嫌う意味もあります。

まぁ、どちらでもいいと言えばいいと思うのですが、
いちおう正式な使い方がある、という話でした。

ちなみに、「───」については、正式名称「ダッシュ」ですが、
これは「─」を3つ並べています。
いくつか並べて長く見せる、というのはたぶん誤用ではないはず。
「──────────」ぐらい長くしてもいいし。
三点リーダーでも、「……」のように長くして使う場合もあるみたい。

まとめ

ということで、省略する、くびき語法についてでした。

言葉を省略することで、ためらいや余韻、緊張感を演出したり
想像をかき立てる効果が出てきます。
また、わざわざ繰り返さなくてもいい言葉を省略することで
リズム感や語感の良さを生み出したりもします。

「・・・」や「───」を付けて、省略していることを明示するかどうかは
その場でどういう印象を与えたいか、で決めるといいと思います。

それではまたー。


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