読み手側に分かりやすく書くか否か。比喩表現のニュアンスの違い


こんにちは。ボイストレーナーのでんすけ(@densuke_snail)です。
今日は天使のコスチュームでお送りしております(謎

「いい詞を書く方法」シリーズ。
今回は、比喩表現です。

比喩表現って、やっぱり詩的表現のキモみたいなところがあって、
これがうまくできるかどうかで作品の方向性とか雰囲気とか完成度が変わってくるように思います。

そんな比喩表現の話。



比喩表現とは

比喩表現とは何か。
小中学校で習うはずなので、だいたい知っているとは思いますが。
あることがらを、別の言葉で例えて表現することを「比喩表現(ひゆひょうげん)」といいます。
あるいは、単に「比喩」とも。

例えば。
「天使のような笑顔」とか
「あの人はトゲを持っている」とか。

天使は可愛いらしい子供のイメージだったり、神聖な雰囲気を持っていたりしますが、
誰かの笑顔を「天使のような笑顔」と言うことで、
可愛い、キラキラしたような笑顔なんだよ、ということを遠回しに伝えます。

「トゲを持っている」というのは、
トゲが持っている鋭い、刺さってくるようなイメージから、
時々突き刺してくるような言動をしたり、厳しい態度をとったり、
辛辣な言い回しをしてきたりすることを遠回しに伝えています。

で、
「天使のような」のように、
「ような」とか、「みたいな」などの言葉をつけて、「ここは比喩ですよー」と明示するやり方を
直喩(ちょくゆ)」あるいは「明喩(めいゆ)」と呼びます。

逆に「トゲを持っている」のように、比喩であることを明示しないやり方を
隠喩(いんゆ)」、あるいは「メタファー」と呼びます。

・・・というところまでは、だいたい学校で習うことですね。
「メタファー」という呼び方は習わないかもしれませんが。

直喩を使うか、隠喩を使うか

じゃあ、直喩か隠喩、どっちを使うと、どうなるのか。

端的にいうと、隠喩を使うと分かりにくくなるという、ごくシンプルな答えだと思うのですが。

例えば「天使のような笑顔」ですが。
これを隠喩にすると、

「天使の笑顔」

となります。

実際に「天使」の笑顔のことを言っているのか、
「天使のような」笑顔のことを言っているのか、
どっちかわからなくなりますね。

こういう場合、例えば直喩の表現を

「君の笑顔は天使のようだ」

としておくと、隠喩に直すと

「君の笑顔は天使だ」

となります。
こうなると、「天使」というのは比喩表現だ、ということが分かりやすくなります。

逆に、わかりにくいままにしておいて、
少し曖昧な雰囲気、不思議な文体、詞的な表現を狙うこともあります。

例えば、こんな感じ。

~~~~~~~~~~
君は天使 僕は太陽
いつの日も その笑顔を照らして
暖め続けたい
~~~~~~~~~~

一方、これを直喩に直すとこんな感じ。

~~~~~~~~~~
君の笑顔は天使のようだから
僕は太陽のようにいつの日も
その笑顔を照らして 暖め続けたい
~~~~~~~~~~

さあ、どうでしょうか。
どっちがいい、というわけでもないとは思いますが。

隠喩で書くと、端的に言い切っていて、歯切れがいいですね。
その代わり、一行目の「君は天使 僕は太陽」だけを読んでも、ちょっと意味がわかりにくいです。
「僕は太陽」って、おまえ何様やねん、という話です。
でも、その先を読むと、あぁそういう意味、となります。

逆に言うと、意味がわかりにくい分、
これはどういうことだ?こういうことなのか?と、
読み手側に想像する余地を与えていることにもなります。

一方、直喩だと、なんとなく言わんとしていることを察してもらいやすくなります。
「君の笑顔は天使のよう」(天使のようにかわいい、ということかな)
「僕は太陽のように」(大きく輝いて暖かい、ということかな)
と想像したところに、「その笑顔を照らして 暖め続けたい」
とくるので、あぁやっぱりそういう感じでくるよね、となります。

逆に言うと、すこし野暮ったくて、説明過剰な印象も受けます。
最後の行の「その笑顔を照らして 暖め続けたい」を読んだ時のインパクトも、
少し薄まってしまう感じになります。

まとめると、
隠喩を使った場合は
・詩的な表現になりやすい
・読み手側に想像する余地が広がる
・意味がわかった時のインパクトが大きい
・難解でわかりにくくなる

直喩を使うと
・やわらかい印象が出る
・意図がわかりやすい
・読んだ時の納得感が出やすい
・説明箇条で野暮ったくなる

というところでしょうか。
もちろん、前後の文脈によっても分かりやすさや読みやすさは変わって来ると思いますが、ざっくり言うとこんな感じ。

直喩の使い分け

次に、「直喩」の使い分けについて。

使い分け、と言うほどではないですが。
直喩にするにも、「のような」だけではないよ!という話。

例えば。

  • 「君の笑顔はまるで天使のようだ」
  • 「君の笑顔はまさに天使だ」
  • 「お前マジ天使」
  • 「君の笑顔は天使みたいだ」
  • 「君の笑顔は天使さながら」
  • 「君の笑顔は天使っぽい」
  • 「君の笑顔は天使風」
  • 「お前、天使的な笑顔してんな」

などなど。

・・・実際のところ、どこまでが学術的に正しく「直喩」に分類されるのかよく知りませんが。。。
まあ、「これは例えだよ!」と示す言葉が周りに付いている例をいろいろと挙げてみました。

「まさに」なんかは、すごく「天使みたい!!!」って思ってそう。
「天使っぽい」とか、「天使的な」などは、そこまで強くはなさそう。

また、「マジ天使」などは、かなり口語的、というか現代的な言い方ですね。
昔の文学作品には絶対に出てこない。
逆に「天使さながら」なんて言葉は、文語的というか、普段あまり使わないお堅い言葉っぽいですね。

直喩を使うにしても、いろんなバリエーションがあります。
それぞれが少しずつニュアンスが違うので、その場に応じて使い分けられるといいと思います。

まとめ

ということで、比喩表現、直喩と隠喩の話でした。

直喩を使うと、想像はしやすくなりますが、場合によっては説明過剰で野暮ったくなる場合もあります。
隠喩だと、分かりにくさが出てきますが、詩的な表現で想像を膨らませやすい表現になります。

直喩を使う場合には、いろんな言葉遣いが考えられるので、作品の方向性などから、適したものを選んで使うようにするといいと思います。

それではまたー。


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