貴方への手紙

よほど深い考えもなく
ただ筆をとり
この手紙を書きます。

貴方は失礼なヤツだと
私を叱りつけるでしょう。
人の気も知らずに、と。

ただ、いま、私は気づいたのです。
貴方は他人ではなく
私は貴方の一部だということに。

そう、いま、私が迫り来る未来を憂い
呼吸することにすら怯えている間にも
貴方は私に近づき
私は貴方になろうとしています。

だから。

だから、いま、私の筆を握る指の圧力は
なけなしの希望と若干の知識を
貴方に託そうとしています。

戸惑わずに、聞いて下さい。
私が貴方を創っています。
私の意志は、貴方に受け継がれていきます。

ただ、いま、私が儚き現在を嘆き
流れいく時代を惜しんでいる間にも
貴方は次第に形作られ
私は消え失せようとしています。

そう、私は消え失せようとしているのです。

だから。

だから、いま、私は筆をとり
この手紙を書きます。
たった一人の貴方。
未来の私に、この手紙を。


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