実践しながら教えるか、しっかりカリキュラムを作って教えるか、どっちの教え方がいいの?


こんにちは。ボイストレーナーのでんすけ(@densuke_snail)です。

「教える」技術をテーマに考えるシリーズ。

今回は、
カリキュラムを組んで教えるか、
実践しながら教えるか、
どっちがいいの?という話をしてみたいと思います。

たまに、ボイストレーナーの間でも
あの人は基礎的なことばかりやるトレーナーだな、とか
とにかく歌ってみるべし、実践あるのみ!とか、
いろんなトレーナーさんがいらっしゃるのですが。

結局のところ、どっちの教え方がいいの?



カリキュラムを組む、ということ

まず、カリキュラムとは何かというと。

「教えたいこと」を
どういう順番で教えるかの計画を立てて
いつまでに何を教えるのか、という日程的なモノも含めて
体系立てて教えていくことです。

もうちょっと広い意味まで含めると
どういう気構えで教えるか、とか
指導方法はどうするのか、とか
そういうものも含めて決めることもあるようですが、
今回は主に「順番決めて教えていく」というところだけ考えます。

例えばボイストレーニングでいうと。

まずは姿勢をきちんとするところから始めて、
次に、呼吸、腹式呼吸のことを教えて、
声の響きとは何か、
きれいな発声とはどんなものか、
発音をどうすればいいのか、
そして高い声はどう出せばいいのか、
ビブラートなどはどうすればいいのか、

と順番に教えていくことになります。

もうちょっと身近な例で「算数」を教えるとすると。

まずは1ケタの足し算を教えて、
慣れてきたら2ケタ、3ケタ・・・と桁数を増やしていったりします。
引き算も同様。
で、応用できるようになってきたら
掛け算、割り算を教えていく。

そんな感じでしょうか。

要するに何が言いたいかというと。
基礎となる知識を先に教えておくことで
その後の応用的な知識の土台にするわけです。

そのために順番が大事。

学校の教育では「カリキュラム」があるのが当たり前ですが、
ボイストレーニングであっても
会社の新人教育であっても、
何かを教える時にカリキュラムを決めておく、というのはよくあることです。

こうして、カリキュラムを決めて教えていく手法を
「カリキュラム型」と呼ぶことにします。

カリキュラム型で教えるメリット

カリキュラムを決めておくと何がいいのか。

・基礎から順番に教えられる
・教え忘れを防ぎやすい
・いつまでに終わるかがだいたい把握できる

というところでしょうか。

基礎から順に

さきほども書いた通り、基礎知識から順番に積み上げられるのが
カリキュラムを決めておくことの最大のメリットです。
実践を繰り返してその都度指摘して学んでいく、というだけでは
基礎が固まりづらく、効率が悪くなる面がありますが、
きちんとカリキュラムを組んでやっていけば、その心配は少なくなります。

教え忘れを防ぐ

先にカリキュラムを決めておくことで
教え忘れを防ぐこともできます。
順番にやっていけば、必ずすべての項目を教えることになりますので。

あとあとになって「あ、腹式呼吸の説明忘れてたね!」とか
「1ケタの足し算教えてないのに掛け算教え始めちゃったね!」とか
そういうのを防げます。

・・・カリキュラム自体に抜けがないようにしないといけませんが。

終わる時期が把握できる

カリキュラムを決めておくと、
やることを先に決めていることになるので、
いつまでに終わるかが、だいたい把握できるメリットもあります。

3ヶ月後に本番、試験があるのに終わるかどうかわからない・・・
なんてことになると不安ですしね。

もちろん、理解するのが早い遅いとか、
いろんな要素で進みが遅れたりすることはありますが、
どの項目が残っているのか、は把握しておくことができます。

カリキュラム型で教えるデメリット

逆に、カリキュラムを決めておくデメリットとしては

・決めるのに手間がかかる
・実践的な内容を取り入れにくい
・つまんなくなりがち

というところでしょうか。

決めるのに手間がかかる

カリキュラムを組むためには、
ある程度考えて組む必要があります。
なので、カリキュラムを組むための時間がある程度必要になります。

・・・まぁ、当たり前の話ではあるので
これをデメリットと言ってしまっていいのかという話でもありますが。

もうすぐ本番を迎える、とか
試験が来月に迫ってる、という場合、
カリキュラムをキッチリ組んで・・・
と言ってるヒマはないはずです。

ある程度、即効性のある教え方、
その場その場にあった教え方をしないと
あまり意味が無いことが多いかと。

実践的な内容を取り入れにくい

これはカリキュラムの組み方にもよりますが。
実践的な内容を取り入れにくい、という側面もあるかと。

基礎から順番に教えていくためのカリキュラムなので、
どうしても「順番通り教える」ということが主眼になりがち。

ボイトレであれば、
腹式呼吸、声の出し方を教えていく、
というカリキュラムを組んでいると、
実際に歌を歌ってダメなところを直していく、
いわば実践型の教え方をする時間が短くなりがちです。

算数でいうと、
足し算は教えたけど、ドリル等で訓練させずに次の項目に行っちゃう、みたいな感じでしょうか。

実際の小中学校のカリキュラムはそれも織り込み済みかもしれませんが、
いざボイトレになったり、
会社の新人教育なんかであったりすると、
実際に実践してみることが軽視されがちだったりします。

事前にカリキュラムを組む場合には気を付けたい所。

つまんなくなりがち

これは、カリキュラムを組んだからという理由だけではなく
教え方にも関わる話ではありますが。

カリキュラム通りに進める、ということを
機械的にやっていきすぎると、
教える側が一方的に教えている感じになってしまいます。

教えられる側としては、つまんなくなりがち。
もっと実践して試したい、とか、
実際にやってみて自分の悪いところを直してみたい、
そんな欲求にかられることもあります。

能書きはいいから、歌を歌わせろや。みたいな。

実践型で教える、ということ

一方、実践型で教えるということはどういうことかというと。
文字通り、実践しながら教えていく、というものです。

ボイトレであれば、歌を歌ってみて、
ダメなところを指摘していくわけですね。

ギターやピアノであれば、演奏してみて。
算数などであれば、問題集を解いたりして。

とにかくやってみて覚える。
それを「実践型」と呼ぶことにします。

実践型で教えるメリット

実践型で教えるメリットとしては

・個人個人の理解度、弱点をあぶり出しやすい
・突発的な出来事も経験できる
・何度も繰り返すことで体で覚えられる

というところでしょうか。

個人個人の理解度、弱点をあぶり出しやすい

カリキュラムを決めてしまうと、どうしても画一的な教え方になるので、
均一な知識を持ってもらう、という意味ではいいんですが、
教えられる側、生徒側個人毎の理解度や弱点などは
あまり重視されなくなりがちです。

また、教えられるだけではなく、
実際にやってみることで理解度を測ったり、
できないところがあぶり出てくることもあります。

頭では分かっていても、実際やってできるかどうかを見る必要があります。

ボイトレでいうと、腹式呼吸やら発声練習やらをやっていても
実際に歌を歌ったときにどうなるかは、やってみないとわかりません。
特定の場所で声が出なかったり、
高音がうまく届かなかったりするかもしれません。

足し算引き算ができました、と言っても、
コンビニで買い物をしてお金の精算をすると
うまく小銭の計算ができないかもしれません。
(レジでやってくれるので困ることはないでしょうけど。。)

突発的な出来事も経験できる

事前にカリキュラムを決めて教えていっても、
必ずしもすべての状況に対応できる知識が得られるとは限りません
世の中、突発的な出来事はたくさん発生しますので。

ボイトレで例えると、
発声練習では高音を出せるのに、
実際に歌ってみると、低音から高音に急に上がる所では
声が届かなくなったりするかもしれません。

算数で例えると、
足し算を3+5は?と聞かれれば8!と答えられるのに
Aさんがリンゴを3つ、Bさんがリンゴを5個持っています。合わせていくつ?
と聞かれると、途端に戸惑うかもしれません。

現実の問題は、教科書通りじゃないことが多いものです。

何度も繰り返すことで体で覚えられる

ひとは、教えられたことを全て覚えておくことはできないものです。

また、頭で理解したことを体現しようとすると、
はじめは不慣れなこともあって時間がかかります。

「11+3はー、1+3がー、えっとー、4でー・・・10を足してー・・・」
といちいち復唱していたら時間がかかってしょうがない。

頭の中で瞬間的に
「11+3 = 14!」と思いつくぐらいになるには
何度も繰り返して練習をするしかありません。

実践型で教えるデメリット

逆に、実践型で教えるメリットとしては

・知識が断片的になりやすい
・結果にこだわってしまいやすい

というところでしょうか。

知識が断片的になりやすい

実践型ばかりでやってしまうと、
知識が断片的になりやすくなります。
その場限りの知識になりがち、と言いましょうか。

たとえば、ボイトレでいうと。
歌いたい歌をとにかく歌う、という練習をする場合。
たしかに、何とかその歌は歌えるようになるかもしれません。
が、別の歌を新しく覚えたいとき、
おそらく応用が利かずに、また一から練習し直す必要が出てきます。

別の例で言うと、
例えば350円のお菓子と120円のアイスを買ったらいくら?
という問題があったとして。
470円、という答えを知ったとしましょう。
それを丸暗記してしまうと、350 + 120 = 470
という計算しかできないわけで、
別の日に270円のお惣菜と80円のお茶を買ったらいくら?
と言われると、お手上げになってしまいます。

基礎の1ケタの足し算が全部頭に入っていれば、
それを応用して270 + 80 = 350
と導けるのですが。

結果にこだわってしまいやすい

実践型では、結果だけを見てしまうという傾向も強くなりがちです。

例えば、歌を歌っている場合。
一番高い音が出せた!という結果だけをみて
「いやー何とか歌えました」となりがちです。
実際に細かく見ていくと音程やリズムが外れていたり
表現が今一つだったりすることもあるはずなのですが、
「高音が出せた!」という結果を注目しすぎてしまう。

買い物をしていても、
350円のお菓子と120円のアイスを買ったら、
レジで470円であることを教えてくれます。
500円を出したら、30円のお釣りを返してくれます。
「買えた!」という結果に注目すると、
足し算の練習には全くなりません。

カリキュラム型と実勢型、どっちがいいの?

さてカリキュラム型と実勢型、
どちらで教える方が良いのか、というと。

まぁ、お分かりかと思いますが、
どっちも使えということですね。

それぞれにメリット、デメリットがあるので、
上手く使い分けていくのが良い方法です。

基本的には、
基礎が固まるまではカリキュラム型で、
ある程度固まったら実践型で、
という流れが自然だろうと思います。

教えることの内容によっては
実践型じゃないと教えづらい、という分野もあるかもしれませんが、
それでもある程度の「基礎知識」「基礎技術」はあるはずです。

実践してみて、この生徒は基礎が固まってないな?
と思ったら、カリキュラム型に切り替えて
基礎を積み上げていくようにしてあげないと
実践もうまくいかなくなりますので。

まとめ

ということで、
カリキュラム型と実践型、どっちがいいの?という話でした。

結局のところ、どっちがいい、というわけではなく
使い分けましょう、という話ですが。

基礎から積み上げていくだけの授業もつまんないし、
実践してばかりでも基礎が固まらないので、
お互いのデメリットを上手く補う形で
使い分けるのがよさそうですね。

それではまたー。


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