【ボイトレ書評】ボイトレの“当たり前”は間違いだらけ!? すぐに歌がうまくなる「新常識」

booktop
歌が上手くなるためのボイトレ本書評。

今回ご紹介するのはこんな本。
ボイトレの“当たり前”は間違いだらけ!? すぐに歌がうまくなる「新常識」 (CD付)

著者:小泉誠司
出版:リットーミュージック



ざっくりした説明

これまで常識とされてきた、いくつかのボイストレーニングの内容を否定し、
新しいメソッドとして紹介する形を取っている本です。

全体としては、平易な文章で、レイアウトもポップにしてあるため、
読みやすい本ではあるな、という印象を受けました。

ただ、、、

本の内容について

僕が書評を書く上で、あまり批判的なことばかり書くのは避けようとしているのですが、
この本についてはちょっと、、、

「旧常識」を否定して「新常識」を紹介する形で、革新感を出す狙いなのはわかるのですが、
そもそも、そんな「旧常識」あったの?というものや、
「新常識」って言ってるけど、それを常識としていいのか?というものなど、
個人的には、少し疑問を持つ内容が含まれていました。

旧常識にそんなのあったの?

例えば、旧常識として
「歌を上達させるために腹筋を鍛えるべし」や
「歌うときは腰に力を入れよう」
というものが挙げられていますが、それって常識なんでしたっけ。。

「歌を上達させるために腹筋を鍛えるべし」というのは、まれに言ってる人もいますが、
僕の印象では、ごく少数だと思っています。特に最近は。

「歌うときは腰に力を入れよう」については、高音を出す際に下半身に重心を持ってくる、という意図で
下半身をどっしりしてみよう、とか、お尻を締めるように、とか、
そういう教え方をされることがあるのは知っていますが、歌うときに常にやっているわけではありませんし、
この本で書かれている「重心のコントロールが大事」というのと根本は一緒なのでは。。

ちゃんと内容を読めば、言わんとすることはわかることが書いてはあるのですが、
タイトルで誤解を招いてしまいがちなのではないだろうか。。

それを常識にしていいの?

例えば
旧常識「喉を開けて歌おう」を否定して、
新常識「喉を締めて歌おう」というもの。

この本の中では、喉を開く=声帯を開く、というとらえ方で書かれていますが、
一般に言われる「喉を開く」というのはそういうことではないはずです。
端的に言うと、喉まわりの筋肉に無駄な力をかけずに歌う、というのが「喉を開く」ということの本質です。

うちの記事でも、
喉を開いて歌うことに関する記事
を書きましたが、声帯に関する話は出てきません。
喉仏が上がりすぎないように歌う、というのが、無駄な力をかけないことに繋がる話です。

確かに「喉を開く」という言葉が抽象的なのはわかりますが、
逆にこれを「喉を締める」という言葉を推奨してしまうことにすると、
無駄な力を入れて歌う歌い方を誘発する可能性が高いように思われます。

もう一つ。
旧常識「うまくなるためには練習しよう」を否定して、
新常識「うまくなるためには笑っていよう」。

いやいやいや!
笑顔で歌うことの有用性も否定はしません。
しかしそれに対して、練習をしなくてもいい、というような誤解を与えるようなタイトルはいかがなものか。

本書の内容を見れば、厳しすぎる練習は嫌になっちゃうから逆効果だよね、ということを書いているのはわかりますが、
タイトルで誤解を与えるのは、どうなんだろう。

どんな人におすすめ?

目次に並んでいる「旧常識」を見て、あぁこんなこと言われたことあるなー
と思った人が、別の考え方を知るのには良い本かと思います。

ただし、タイトルだけ斜め読みしてしまうと、誤解しやすい内容が含まれている印象がありますので、
ちゃんと内容まで読んで、きちんと理解しながら読み進めるのが良いと思います。
そういう意味では、本当の初心者の方にはお勧めできないかも。

ということで、気になった方はどうぞ。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA