【歌声解説】林部智史さんの歌い方、歌唱力を解説


こんにちは。ボイストレーナーのでんすけ(@densuke_snail)です。

今回は、林部智史さんを取り上げてみたいと思います。
「はやしべさとし」さんです。

メッセージにて、林部智史さんの解説をリクエストいただいたので、
この記事を書いてみました。
メッセージありがとうございます!

林部智史さん、カラオケバトル系のテレビ番組で話題となった方です。
何度も優勝されているようですね。

2016年にシングルを発売し、
プロの歌手として活動をされています。
最近は「就活家族」というドラマの挿入歌も歌って話題になっています。

そんな、林部智史さんの歌声解説。



晴れた日に、空を見上げて

では聞いてみましょう。
「就活家族」の挿入歌にもなった曲
林部智史「晴れた日に、空を見上げて」

林部智史さんの歌唱力1 きれいに響く声

林部智史さんの特徴と言えば、この声ですね。
きれいに響く声。

この声で、よく「泣ける声」と称されることが多いですが、
特に高音の響きがきれいに出ていると思います。

しかもかなり高音まで出てますね。
地声での最高音は1:27あたりからのサビ「泣か『な』いで」です。
hiB♭です。(※音名hiB♭の説明はこちら

男性の地声ではかなり高い音程ですが、
軽々と地声で出せていますね。

裏声じゃないです。地声です。
同じ音程で裏声を使っているフレーズと比べるとわかります。

1:41あたりからのフレーズ「人がこ『こ』で」
先ほどと同じhiA#なんですが、明らかに声質が変わっています。
こっちは裏声。
使い分けてますね。

なぜ使い分けているかというと。

1:41あたりからのフレーズ「人がここで」は
「ここ」の音程がmid2F、hiA#と一気に飛んでいるのに対して

サビの頭「泣かないで」は
「な(mid2F)、か(hiA♭)、な(hiB♭)、いで」
と、hiA♭の音が挟まって、段階的に上がっていきます。

音符で書くとこういう感じ。
波線(~)より左側が「泣かないで」の『泣かな』、
右側が「人がここで」の『ここ』です。

「泣かないで」の方は間に音が挟まって一気にジャンプするわけではないため、
地声のまま遷移しやすいのですが、
「人がここで」の方は音が飛んでいる分、
一気に裏声に変えてしまった方が音が出しやすいのです。

林部さんの歌い方的に、
高音を力まずに響かせる出し方をしています。
「人がここで」をすべて地声にしてしまうと、
音程をジャンプするときにどうしても力むような声になってしまいがち。
なので、素直に裏声に切り替えたほうが楽だし自然に聞こえる。
さらに、音楽的にも、急に入る裏声がアクセントになる。

この曲、考えられてるなー。と思います。

林部智史さんの歌唱力2 地声と裏声の切り替え

地声の最高音はhiB♭、と書いてましたが。
裏声の最高音がhiD♭です。

2:01あたりからのサビの最後らへんのフレーズ
「幸『せ』になれる」
ここの『せ』がhiD♭です。

男性にとって、裏声が苦手じゃない方にとっては、
そこまで苦労なく出せる音程ではありますが。

問題はそのあと。
「なれるぅ」の部分です。

「なれる」までは裏声ですが、最後の伸ばし「ぅ」を地声に戻してきます。
これがわりとクセモノ。
裏声から地声にスムーズに切り替えるのって、案外難しいです。

これ、よくある細工が使われているんですが。
「るぅぅー」と伸ばしているところ、
着地する音程よりも、低い音程の音が間に挟まってます。

音符にするとこんな感じ。

一旦、mid2E♭まで下がって、mid2Fで伸ばす、という感じ。
完全に地声が出しやすい位置までいったん下がって
そこから音程を上げて、音を伸ばす。
これによって、裏声から地声にしっかり戻しやすくなります。

戻しやすくなる、と言いつつ、
やっぱり難しいんですけどね。
きっちりと裏声、地声が出し分けられているからできることです。

参考に、こんな記事もどうぞ。
高音が安定しない人のためのトレーニング!裏声も地声も鍛えよう

林部智史さんの歌唱力3 かすらせる声

もう一曲聞いてみますか。
1stシングル「あいたい」

 

ファーストシングルにしては、暗すぎませんかね。。

そんなことはさておき。
0:26あたりの、2回目の「『あ』いたい」

『あ』の声の出し始め。
息をかなり吐きだしながらの「あ」です。
「はいたい・・・」ぐらいの感じ。

ささやくような、というか、呟くような声。
息を多く吐き出す、と同時に、
のどを最小限しか開かない状態で歌っています。

こういう歌い方をしていくと、
所々にかすれた音、というか、金属音にも似た雑音が混じることがあります。

わかりやすいのは
2:32あたりからの「浮かぶあなたの『か』げ」
ここの『か』がかなりかすれているのがわかりますかね。
こういう雑音、ところどころに出てきます。

この「かすれ」が、
歌に物悲しさ、やるせなさ、伝えきれない気持ち
のようなものを付け加えてくれているように思います。

ある程度、この音が出るように狙ってはいると思いますが、
かなり微妙な力加減なので、偶然鳴っている音だとも言えます。

泣きそうな気持を、吐き出すように歌っていると、
こうしたかすれ声が出たりしますので、
興味のある方はやってみてもいいかと思います。

・・・なんか、この曲、聞き続けてると落ち込んできますね。。。

林部智史さんの歌声を例えると

林部智史の歌声を何かに例えてみようのコーナーです。

「レコードプレイヤー」という感じでどうでしょう。

レコードです。LP盤というやつですな。
レコード板に針を滑らせて音を流すヤツです。

いい音がするんだけど、
扱いを間違えると壊れてしまいそうな感じがしまして。

なんか、すごく絶妙にバランスを保ってる声に聞こえたんです。

安定して歌ってはいるんですよ。
危なっかしいという意味ではなく。

こういう声を当てはめなきゃいけない!
という感じの歌い方で、遊びがないというか。
ちょっとバランスを崩してしまうと、彼の歌っぽくなくなってしまうというか。

いい意味で完成しているけれど、
悪い意味でも完成してる感じがします。

まとめ

ということで、林部智史さんの歌声解説でした。

きれいに響く声で、
「泣ける歌」と言えばこの人!と話題ですが。

特に高音、そして裏声。
そつなく声が出せている感じです。

「泣ける歌」というイメージでやってらっしゃるので
いまのところ、そういう曲ばかり歌っている印象ですね。

たしかに、他のジャンルを歌ってるのが想像できない、というか、
しっくりこなさそうだなあ、という印象です。
そういう意味で、絶妙なバランスの歌声、という印象。

このまま「泣ける歌と言えば」というイメージで貫くのか、
実はほかの歌も歌えるんだぜ!と幅を広げてくるのか。
注目したいと思います。

それではまたー。


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