82.ライブで失敗しないために!ボーカルも知っておきたい音響の考え方

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こんにちは。ボイストレーナーのでんすけ(@densuke_snail)です。

今回は、音響の考え方ということで、音響についての基礎知識と
PAさんとの絡み方を考えてみたいと思います。

そんなに専門的なことは書きません。専門家でもないですし。
ただ、歌い手、ボーカルとして知っておいていいよな、という知識は書いてみようと思います。

この手の話って、慣れろ!と言われてあまり教えてくれる人がいなかったりするので、
僕自身の知識整理もかねて、まとめてみたいと思います。



82.1.自分が聞こえる音とお客さんが聞く音は違う

前回の記事で、中音外音という考え方があるということを書きました。
前回の記事はこちらです。

81.ライブで声が埋もれる!?ボーカルが聞こえない時の対処

要するに、歌ってる側、演奏している側に聞こえている音を中音、
お客さん側に聴こえている音を外音、というのでした。

つまり、自分が聞こえている音と、お客さんが聞いている音は違うかもしれない、ということです。
もっというと、場所によって聞こえる音が違う、ということでもあります。

理想を言えば、どんな場所にいる人に対しても、自分が思っている音を聞いてもらえる、
という状態を作り出すのが一番の理想です。
それを目指すのが、音響の仕事のひとつです!!

・・・と偉そうなことを言いましたが、そんな難しいことは音響の専門家にお任せするとして。。
そんな音響さんが、どういう基礎知識をもとにして音を考えているのか、
僕なりに基礎的なことをまとめてみたいと思います。

82.2.音の特徴

「音」というものは、こんな特徴を持っています。

  • 音は直進し、距離が離れると減衰する
  • 壁に反射する
  • 柔らかい材質には吸音される
  • マスキング効果

ほかにも色々ありますが、今回書くのはそんな内容です。

82.2.1.直進し距離が離れると減衰する

たとえば、遠くの人と話をするのと、近くの人と話をするのでは、
近い方が声が届きやすいですよね。

それは、距離が離れると音が減衰するからです。

もう一つ大事なのは、音は直進するということです。
音というのは、基本的には前に向かって真っすぐ進みます。
つまり、スピーカーの後ろ側に回ると、音はあまり聞こえなくなります。
実際には多少聞こえますが、スピーカーの前面に比べればかなり小さい音です。

これ、何が大事かというと。

  • モニターから返される音は、モニター正面が一番よく聞こえる
  • モニターから離れすぎると聞こえない
  • モニターに近づきすぎるとうるさすぎる(ハウリングする可能性あり)

ということです。
モニターからの自分の声が聞こえないと、歌いづらいのと、お客さんにも聞こえてない?と思ってしまうことになります。
そのため、必死で声を荒げて、のどを傷める、、、という結果になることも。

なので、モニタースピーカーに対しては正面に、ちょうどいい距離で立つ、というのが基本です。
ステージ上を動き回りたい時は、モニター正面から外れた場合に自分の声がどの程度聞こえるのかを把握しておくと焦らずに済むかと思います。

82.2.2.壁に反射する

音は壁に反射するため、反響音が聞こえることになります。

わかりやすい例でいうと、オペラなどのホールで声を出した場合。
あれは反響音がうまくステージ、客席に伝わるような構造になっているため、
生の声だけでも十分に迫力のある音が聞こえるようになっているのです。

また、ライブハウスやカラオケボックスなど、屋内であれば、まず間違いなく壁があります。
壁があることで、音が反射して聞こえてくるため、
部屋の中のどこにいてもある程度の音量が保たれて聞こえてくるわけです。

ところが、これが野外になると、壁が全くないため、音が反響しません。
ということは、声を出す本人の目の前にいる人、あるいはスピーカーの前にいる人にしか十分な音が届かないことになります。
ある程度広い範囲に向けて、音量を出せる機器を使う必要が出てくる、ということですね。
野外ライブやストリートをやる場合にはそのあたりも注意する必要があるかと思います。

82.2.3.柔らかい材質には吸音される

音は壁に反射する、と書きましたが、一方で柔らかい素材などに当たった時は吸収される性質もあります。

小学校のときの音楽室など、穴だらけの壁になっているのを見たことがないでしょうか。
あれは、穴を開けることによって音が反射しづらくしているのと、
その奥に張ってある吸音材で音を吸収する、ということで外に音が漏れないようにしているのです。

で、実際に音が吸収されるものとしてもう一つ、人の体があります。
ライブなどでお客さんが入ると、人の体が増えることになります。
このとき、人の体は吸音材の役割をするため、人がいるのといないのとでは音の聞こえ方が違ってきます。
「人が音を吸う」という表現のされ方をすることもあるとか。

つまり、リハーサルなどでお客さんがいない状態で演奏した時の音の感じと、
客席に人がいる状態で演奏した時とは、聞こえ方が変わるということです。

これを知ってたからなんだ、というわけではないですが、
どうもリハーサルと感じが違う?と思ったら、人がいるから、ということも原因の一つかもしれない、と考えてみるといいかもしれません。

82.2.4.マスキング効果

道路や線路の近くなどでしゃべっていると、車や電車の雑音で相手の声が聞こえなくなること、ありませんか?
それが、マスキング効果です。

端的に言うと、大きい音が聞こえてくると、小さい音が聞こえなくなる、ということです。

これ、音が消えているわけではなく、実際には聞こえてるはずなんだけど、
脳が大きい方の音だけを処理してしまうために小さい音だけ聞こえなくなっているのです。

これはつまり、楽器隊とボーカルとの音量バランスの問題につながってきます。
楽器の音がうるさければ、いくらボーカルが頑張っても聞こえなくなってしまいます。
逆に、楽器がうるさくなければ、ボーカルはそれなりの声を出していればいいということになります。

これ、周波数成分の話と少しかかわってきます。
周波数の話はこちらの記事も参考に。

36.ボーカリストが理解しておくべき周波数帯のイコライジングの話

ボーカルに一番多く含まれている、聞こえやすい周波数帯域があります。
だいたい200Hz~3kHzぐらいと言われたりしますが、
まあ、聞こえやすい周波数というのがあるわけです。

ここに、ほかの楽器の音で200Hz~3kHzぐらいを多く含む音が鳴ったとすると。
先ほど出てきたマスキング効果によって、ボーカルの音がかき消されてしまいます。

こういう場合、楽器の方の200Hz~3kHzあたりをカットしてあげることによって
ボーカルの200Hz~3kHzが聞こえやすくする、という方法を使ったりもします。
ただし、楽器の音がカッコ悪くなってしまう場合もあるので、加減を見ながらなのですが。

もしボーカルが聞こえにくいなどの症状がある場合は、そういった音作りについても話し合うことができるといいかもしれません。

まとめ

ということで、音響についてでした。

これを知らなくても歌うことはできますけどね。
声が聞こえにくい、思ったような声をお客さんに届けられていない、と感じたときに
どう解決すればいいのかわからなくなる場合もあるかと思います。

そんなときに、音響面から解決できることはないだろうか、という視点から見るとうまくいくこともあるかもしれませんので、
基礎知識として知っておいてもらえればと思います。

音の性質を知ることで、自分にも、お客さんにも聞きやすい音が出せるようになりたいですね。


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