JASRACが音楽教室から著作権料を取る!?これからの音楽を考える


こんにちは。ボイストレーナーのでんすけ(@densuke_snail)です。

今回は。。
JASRACが音楽教室から著作権料を取るかもしれない!
というニュース、さんざん流れてますね。。
こういうの。

 

正直、めんどくさいなーこういう話題、と思うんですが。。

でも、ボイストレーナーって名乗っちゃってるから、
この話題に触れないわけにはいかないじゃないか。

ということで今回は、
これからの音楽のあり方について。



JASRACってなによ

そもそもJASRACって何かというと。

正式名称「日本音楽著作権協会」。

Wikipediaから抜粋すると。

作詞者・作曲者・音楽出版者から録音権・演奏権などの著作権の信託を受けて、音楽の利用者に対する利用許諾(ライセンス)、利用料の徴収と権利者への分配、著作権侵害の監視、著作権侵害者に対する法的責任の追及などを主な業務としている。社団法人であるため一般社団・財団法人法に基づいて非営利目的の運営が法律により定められている。

音楽を作った人は「著作権」を持っている。
ざっくり言うと、「僕が作ったんだから、利用するならお金払ってね」と言うことができる権利、が著作権。
です。
著作権料の支払いを求めることができるわけです。

でも、音楽っていろんなところで使われちゃう。
個人で音楽プレーヤーで聞くことはもちろん、
カラオケでも、ライブハウスでも、カフェやバーで流れる音楽も。
全国津々浦々、色んなところで使われるわけです。

そこに全部「お金払ってね」を言いに行くのは大変。
だから、JASRACが一括で管理しましょう。

という存在がJASRACです。

・・・ざっくり言いすぎかもしれないけど、大筋は合ってるはず。

音楽教室がターゲットになること

僕みたいなボイストレーナーに仕事を委託して頂いているようなボーカルスクール、
あるいは、その他楽器のスクールなんかでは、
生徒さんが歌いたい、弾きたい曲を選んで持ってきて、
それを練習のために演奏します。

そこにJASRACさんは
「あ、いま音楽使った!使ったね!」
と言ってきたわけです。

大手のヤマハさんを始めとして、全事業者を対象にするとか。
個人経営のひとは免除するよ、とか、
大学や専門学校は対象外だよ、ということ。

今回のJASRACさんの方針は、そういうことです。

JASRACの何がダメなのか

何がいけないのか?という話ですが。
これはポイントが3つある、と思ってます。

営利目的かどうか

そもそも、「音楽使ったね!」と言えるのは、
その音楽が営利目的で使われた時です。

なので、趣味のバンドサークルなどがライブハウスでライブをしても、
利益が出ていないわけなので、著作権料は支払いません。

カラオケでは、音楽を使うことでカラオケ事業者が利益を上げています。
なので、カラオケ事業者が著作権料をJASRACに支払い、
その分、お客さんがお金を払ってカラオケを歌います。

で。

音楽スクールの場合。
生徒さんが歌いたい、弾きたい曲を選んで持ってきて、
それを練習のために演奏します。

あるいは、発表会などの場を設けて、
生徒さんが練習した曲を練習成果の公開のために演奏します。

・・・さて、これは営利目的か。

まず、演奏する生徒さんにとっては、お金を払ってまで演奏しているわけで、
どうみても「営利」ではない、と考えるべきかと。

一方、スクール側についてはどうか。
確かに、「やりたい曲」が無ければ営業そのものもできないかもしれませんが、
そこで生徒さんから頂いているお金というのは、
「楽曲を使うことに対する対価」ではなく、
音楽を教えたことに対する対価」です。

そこに、楽曲を使用したから著作権料がかかる、というのは
かなり無理があるんじゃないの?ということです。

音楽業界の衰退に関わる?

もうひとつは、音楽業界の衰退に繋がってしまうのでは、という懸念です。

もし今回の方針が認められたとして、
実際に著作権料を取っていくことになったとしたら。
その分は、お客さんである、生徒さんのレッスン料に乗せられます。
あるいは事業者側がガマンするか。

値上げするとなると、生徒さんが減ることが懸念されますし、
事業者側がガマンするといっても、どこかで限界が来るとすれば
事業を撤退することも考えられます。

そうなると、「音楽を楽しむ」層が減ってしまうことになり、
さらに音楽が売れなくなっていき・・・
という悪循環が生まれる可能性があります。

徴収される額でいうとたかだか数%の話ではありますが、
「音楽は何をやるにしてもお金を取られるんだな」
という印象が根付いてしまうと、
じゃぁお金のかからない他の娯楽へ行こう、となる可能性もある。
そういう潜在的な意識のほうが、後々になって効いてくるんだと思います。

著作権料の分配の問題

あと、実際に著作権料を徴収したところで、
どの作家さんに、いくら分配するのか、という仕組みの話はどうなるの?とか。

たとえば、僕がJASRACに登録した曲があるとして(実際にはないけど)

全国のスクールでいくつかが僕の曲を使うとしましょう。

それ、いくつのスクールさんが、どれだけの期間僕の曲を使ったのか、
わかるようになるんですかね?
それがわからないと、著作権者である僕にお金をいくら支払えばいいのかわからないはず。
分配する割合がわからないですからね。

まさか、レッスンごとにどの曲を使ったか、なんてことをいちいちJASRACに申告しないといけない?
それをJASRACが集計してちゃんと分配してくれる?

集計するという維持管理をするコスト、
あるいは集計するシステムを作るコストなんかも、織り込み済みで言ってる?

ニュースの情報しかないのでわかりませんが、
その辺を考えずに「徴収します」とだけ言ってるように聞こえてならないんですけど。

これ、結構大事なことで、
「著作権を保護する」という大義がJASRACの存在意義のはずです。
だとすれば、しかるべき権利者(この場合は僕)に、
しかるべき額のお金をきちんと分配する、という処理がなされるべきです。

まぁ、JASRACさんならちゃんと考えてらっしゃると思うのですが、
そこらへんが見えてこないので、不安感しかない、というわけです。

でんすけさんのご意見は?

僕の個人的な意見ですが。

「なめんな」です。

正直なところ、
「JASRACにお金が入らなくて運営に困ってるから、取れるところから取ろう」
と言っているようにしか聞こえない。
著作権の保護という大義はどこへ行ったんだか。

やるんだったら、
個人経営のひとは免除するよ、とか、
大学や専門学校は対象外だよ、とか、
その例外はなんのためにあるんだよ、という話もあって。

個人経営であろうが利益出してる人は出してるんだから、
一律取るのが筋ですよね。取ってほしくはないけどさ。

大学や専門学校は対象外だよ、もどうなんだろう。
確かに、学校法人は非営利の団体なんだけど。
音楽を教えて対価をもらってる、というビジネスモデルは一緒だし。
それでお金が発生してるのは確かなんだけど。

何かと「著作権」って言い過ぎじゃない?

あと、何かと「著作権」と言いすぎな気がするのですよね。
なんか、音楽を使って何かをすると、すぐお金、という話になってしまう印象が、こういうニュースで強まってしまうのはいかがなものかと。

音楽は広まってなんぼ、だし、
最近キングコング西野さんの絵本の話でも出てきましたけど、
コンテンツを無料で公開しておく「フリーミアム」という戦略は
もうずいぶんと前からやられている話だったりもするんだけど。

 

もちろん、適切に著作権が守られる必要はあると思いますよ。
例えば僕が作った音楽が勝手に使われて、
しかもお金もうけされてた、という話になれば・・・ということですけど。

でも、それをされないようにするために
「広めないようにする」というのは、
長い目で見て、おいしくない気がするんだよなー。

もうちょっと、「フリーミアム」の戦略とか、
広まった音楽からどうマネタイズするのかとか、
JASRACのエライ人たちなんだから、営業手法を考えればいいのに。

その手の話は、この本がお勧めだよ。
読むといいよ。

 

そういう戦略の持ち方が、ひいては音楽の未来につながるんじゃないかと。
あんまりこういうことやってると、自分で自分の首を絞めることになりかねないと思うんですけどねー。

Twitter上のエライ人たちのご意見

Twitterでも大きく話題になりました。

こおろぎさん。

そ、そうですね。。
そんな身もふたもないことを言われると僕もつらいです。。
みんな、スクールは貴族だけのものじゃないよ!!(必死

まぁでも、そういう意味では僕のブログも
無料でボイトレとか、作詞作曲とか情報提供をしているわけで。
そんなの、ネットを探せばたくさん出てきますしね。
だからこそ、既存の道とは違う生存戦略を考えろってことなんでしょうけど。

あと星川さんからこんな意見も。

JASRACに著作権料を払わなくていい音楽を作って、
それをスクールさんに使ってもらうという営業っていいんじゃない?という話。
なるほど。

僕もラジオをやり始めたりしてますけど、
誰かの曲をBGMとして使っちゃうと著作権が云々という話になっちゃうし、
売り切りの素材を買ってくるか、自分で作るかじゃないと面倒だな、と思うわけです。

まぁ、僕のラジオの場合は、YouTubeの広告載せてたりするので、
利益が出る可能性がある(今の再生回数だと全然あるわけないけど・・・)
ので、著作権料を払ったりするのはある意味当たり前なんだけど。

それでも、個人のメディアなんかで権利関係考えたりするのめんどいな、
と思ったりするだけで、既存の楽曲が使われなくなっちゃう。
もう自分で作っちゃえばいいか、とか考えちゃう。
それはそれで、機会損失なんじゃないかと思うけどなぁ。
僕自身の勉強にはなるから、いいんだけどさ。

まとめ

ということで。

JASRACめ。

という話でした。

いや、「著作権を保護する」という大義は、大事です。
それはもうぜひ。JASRACさんやって下さい。
なんですが。

そのやり方がね。どうかね。という話です。
音楽の未来を考えるなら、
著作権を盾にして音楽を広めない、というよりも、
広めておいて、それからどうするかを考える
というのが、いいと思うんだけどなあ。

さて、いかがでしょう。
皆さんはどう思われますか?

それではまたー。

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