終止(カデンツ)の種類

終止のお話。
終止千万。



終止とは

終止とは何か。
以前、こちらの記事でもちらっと解説していました。

トニック・サブドミナント・ドミナントの役割とコード進行【わかりやすい音楽理論】【コード】

もう一回おさらいしときましょう。

例えば、こんなコード進行を聞いてみて下さい。
Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ→Ⅰです。

はい。
最後のジャラーンで、曲が終わった感じがしましたよね?

これが、終止です。
ドイツ語でカデンツとも呼びます。
あと、イタリア語でカデンツァと呼ばれることもありますが、あまり見かけない。

で、終止という名前なので曲の最後のことだけを指すのかと思いきや、
曲の途中でも終止したりします。
たとえば、こんな感じ。

Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ→Ⅰ(終止!)→Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ→Ⅰ(終止!)
という感じです。

曲の流れの中で、句読点のようなものを存在させて、メリハリをつけるために使われたりするのですね。

完全終止

先ほど出てきた、終わったなー感がある進行。
もう一回載せときますね。
Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ→Ⅰです。

この終止のしかたを、完全終止と言います。

Ⅴ→Ⅰの進行、ドミナントからのⅠへの進行で、完全終止になります。

もう少し厳密にいうと、和音の最高音がルート音である必要があります。
先ほどのⅠ→Ⅳ→Ⅴ→Ⅰは、C→F→G→Cだったので、最後のCの最高音がC=ドである必要があるわけですね。

また、和音が転回形になっていてはいけません。
転回系とは、低い方から順に「ドミソ」の順番になってないこと、
たとえば「ミソド」のような順番に並んでいる、ということです。

譜面、見ておきますか。
赤いところ、「ソシレ」「ドミソ」の順に並んでいるのがわかるかと。
kadenz_kanzen

曲の終わりでは、この完全終止が使われることがほとんどだと思います。
それを逆手にとって、ほかの終止を使ってわざと余韻を残して終わる、ということもありますが、基本的には完全終止させてしまうのが「座りがいい」感じです。

手紙でいう所の「かしこ」「草々」「敬具」みたいなものでしょうか。
結びのひとこと、みたいな感じです。

不完全終止

先ほど出てきた、転回系が使われているⅤ→Ⅰを不完全終止と呼びます。
終わった感はあるのですが、先ほどの完全終止と比べると弱い、ということで、不完全です。

聞いてみましょう。
先ほどと同じくⅠ→Ⅳ→Ⅴ→Ⅰですが、
Ⅴ、Ⅰ共に転回形になってます。

譜面はこんな感じ。
赤いところ、「シレソ」「ミソド」の順番です。
kadenz_fukanzen

変終止、変格終止、アーメン終止

Ⅳ→Ⅰのように、サブドミナントからのトニックで終わる終止を変終止もしくは変格終止といいます。
サブドミナントなので、Ⅱ→Ⅰなんかでも変終止になるようです。

例えば、
Ⅰ→Ⅵ→Ⅳ→Ⅰのような進行にしてみるとこんな感じ。

完全終止ほどではないですが、終わった感じがしますね。

これ、Ⅳ→Ⅰだけで鳴らしてみるとこんな感じになります。

アーメン、って、聞こえましたね?聞こえましたね!?
あなたにも神様が見えたはずです!!(何

この、アーメン、のフレーズとして使われるため、別名アーメン終止とも呼ばれます。
なので、完全終止した後に、曲の締めとしてアーメン終止でもう一度締める、という使われ方もあります。

偽終止

終わると見せかけて終わらない、ニセ物の終止、それが偽終止です。
完全終止がⅤ→Ⅰになるのに対し、
Ⅴ→Ⅵのように、トニックの代理和音で終わるものを「偽終止」と呼びます。

例えばⅠ→Ⅳ→Ⅴ→Ⅵ。

最後の終わり方、「ん、なんでやん!」ってなりません?
終わると思いきや終わる感がない終止です。

半終止

最後に紹介するのは、Ⅴで終わる、という半終止です。
ドミナントという不安定なもので終わるので、終わった感がしない。まだ続く感じがする。

試しに聞いてみましょうⅠ→Ⅵ→Ⅳ→Ⅴ。

めでたしめでたし、でしたが・・・?
みたいな感じでしょうかね。
まだ続くよ、という感じを出すときに使うといいかもしれません。

いろんな終止を使ってみましょう

ということで、いろいろ出てきたので、
全部いれて一曲作ってみました。

とりあえず今回挙げた終止を全部入れようとして適当に作ったので
完成度はともかくとして。
聞いて下さい、カデンツの歌。

コード進行としてはこんな感じ。
縦線が小節線だと思って見てください。
C F | G Am | C F | G C | F Em | Dm C | F Dm | G G | C Dm | F C | C F | G C | F C

ディグリーネームに直すと、こうです。
Ⅰ Ⅳ | Ⅴ Ⅵ | Ⅰ Ⅳ | Ⅴ Ⅰ | Ⅳ Ⅲ | Ⅱ Ⅰ | Ⅳ Ⅱ | Ⅴ Ⅴ | Ⅰ Ⅱ | Ⅳ Ⅰ| Ⅰ Ⅳ | Ⅴ Ⅰ | Ⅳ Ⅰ

全部の終止を書き出してみると、こんな感じになります。
Ⅰ Ⅳ | Ⅴ Ⅵ (偽終止)|
Ⅰ Ⅳ | Ⅴ Ⅰ (不完全終止)|
Ⅳ Ⅲ | Ⅱ Ⅰ (変終止)|
Ⅳ Ⅱ | Ⅴ Ⅴ (半終止)|
Ⅰ Ⅱ | Ⅳ Ⅰ (変終止)|
Ⅰ Ⅳ | Ⅴ Ⅰ (完全終止)|
Ⅳ Ⅰ(変終止)|

一応、歌詞も終止の名前に関連するっぽく付けてみました。


偽物ばかり目につくけど
本気の想い ここにある
変わった人と呼ばれたけど
半端なままじゃいられない
まだまだ変化し続けてく
完全無欠この気持ち
じゃーねー!!

最後の「じゃーねー」は完全に無理やりつけてますけどね。
変終止の使い方としてはわかりやすいかと。

あと、Gが1小節続く半終止のところも、効果としてはわかりやすいかと。
このまま次の展開が続くな、という感じになりましたよね。

今回はすべて2小節ずつ終止させましたが、
曲調によって1小節ずつサクサク終止させてみたり
何小節にもわたって終止しないまま進行してみたり、
変化をつけてみても曲のアイデアのひとつになるかもしれません。

じゃーねー!!

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