【歌声解説】平井堅さんの歌い方、歌唱力を解説
こんにちは。ボイストレーナーのでんすけ(@densuke_snail)です。
今回は、平井堅さんを取り上げてみたいと思います。
ザ・濃い顔でおなじみ(?)
平井堅さんです。
いま日本で一番濃い顔と言えば
平井堅さんか阿部寛さんじゃないかと思っています。
・・・僕の勝手なランキングですが。
そんなことより。
歌唱力が話題となってブレイクし、
いまや知らない人はいないシンガーとなった平井堅さん
そんな平井堅さんの歌声解説。
魔法って言っていいかな
では、聞いてみましょう。
平井堅「魔法って言っていいかな」
平井堅さんの歌唱力1 エッジボイスを混ぜる
平井堅さんといえば、エッジボイス。
エッジボイスと言えば平井堅さん。
という、僕の勝手なイメージではありますが。
エッジボイス、たくさん出てきます。
歌い出しの0:14あたり「『き』みがあんまりまぶしく笑うから」
0:27あたり「いつしか『ぼ』くのハートの」
0:34あたり「『き』みがあんまりむ『ぼ』うびに泣くから」
うなるような「うぅ・・・」という声。これをエッジボイスと呼びますが。
このエッジボイスを随所に混ぜることによって
むせび泣くような切ない表情を出すことができます。
平井堅さんは、このエッジボイスを多用して、
切ない歌い方、平井堅さん独特の世界観を作り出しています。
エッジボイスに関しては、こんな記事でも取り上げました。
やり方が知りたい方は、こちらも参考に。
歌唱テクニック向上!しゃくりとフォール応用編
平井堅さんの歌唱力2 地声?裏声?
平井堅さんのもう一つの特徴は
地声と裏声の区別がつきにくい、ということです。
平井堅さんは全部裏声で歌ってる、と分析する人もいるぐらい、
じつは裏声を多用しています。
全部、というのは、おそらく「高い声は」ということだと思いますが。
0:55あたりからのBメロ「愛という曖昧『なも』のに」
この『なも』は裏声です。
微妙ですが、声の質が変わってるのがわかるでしょうか。
音程でいうと、mid2D#です。(mid2D#などの音名の説明はこちらへ)
男性にとって、そこまで高くない、というか、
ほとんどの方でも地声で出せる音域ではありますが、
おそらくあえて、裏声を選んで歌われています。
地声で出そうとすると、どうしても強い声が出がちです。
それが、曲の雰囲気、あるいは平井堅さんの歌い方に合わない、
という判断なんだと思います。
実際のところ、裏声といっても、かなり柔らかめの、
息を多く含んだ裏声を出しています。
それが、この曲の柔らかさ、やさしさにつながっているのかと。
1:14からの「君を笑顔にするまほ『うは』」
ここも裏声ですね。
やはり息を多めに出すために、『ほは』という発音になってます。
あと、超難度の1:20からのあのフレーズ
「帰り道の 犬の鳴きまね あの日の本音 君の寝言の話」
ですね。
「君のね『ごとの話』」の後半のところが裏声、あとは全部地声、だと思います。
地声で出そうか、裏声で出そうか迷うぐらいの音程が続く中、
それをきちんと出し分けて、コントロールできているのがスゴイわけです。
実際にカラオケなんかで歌う場合には、
どこから地声でどこから裏声でも別にどっちでもいいんですが、
そこが頭の中であいまいになっていると、
実際に歌うときに変な裏返り方をしたりするので、
キッチリと決めて歌わないと難しいです。
平井堅さんの歌唱力3 エフェクトが少ない
これは平井堅さんの歌唱力、というか、この曲だから、だと思うのですが。
エフェクトでの味付けが、非常に少ないのではないかと。
リバーブ、ディレイがほとんどかかっていないように聞こえます。
まったくかかってないわけではない、ように聞こえますが、
かかっててもちょっとだけです。
自信あるなー。と思いますよね。
通常、ボーカルのパートには
リバーブ、ディレイ、コーラスなどのエフェクトをかけて
ある程度きれいにして仕上げるのが一般的です。
ところがこの曲の場合、
それがほぼ付け加えられていない。
すっぴんで勝負してきてる、みたいなもんですよ。
それがゆえに、いい意味で生っぽさが出ています。
たとえば、歌い出しの0:14あたり「君があんまりまぶしく笑うか『ら』」
この『ら』の伸ばし方。
ちょっと、揺れてしまっているのがわかりますでしょうか。
音程としてはmid1C#です。(mid1C#などの音名の説明はこちらへ)
男性にとって、出せなくはないですが、ちょっと低いな、と思う音程。
このあたり、しっかり伸ばすのが非常に難しいです。
息をしっかり吐いてあげないといけない。
しかも、柔らかく歌いたいので、余計に吐かないといけない。
そうすると、安定させるのが非常に難しい。
でも、これを揺れている状態そのままで残していることによって、
平井堅さん自身が耳元で歌ってくれているようなリアル感がある。
これはこれでいいな、と思います。
また、生っぽいままの音源だとすると、
そのほかの部分はかなり安定して歌えている、と言えます。
このあたりは、さすが平井堅さんの歌唱力、といったところです。
平井堅さんの歌声を例えると
平井堅の歌声を何かに例えてみようのコーナーです。
「ミロのヴィーナス」という感じでしょうか。
こういうやつね。
・・・顔が濃いイメージで、ローマのイメージなんですが。
ルネッサンスの芸術、ミロのヴィーナス像をイメージしてみました。
はじめは「ダビデ像」をイメージしてみたんですが、
男性らしいがっちりした歌声、というよりも
女性っぽい柔らかな歌声、という方が合うんじゃないか。
そう思って、ミロのヴィーナス像です。
まとめ
ということで、平井堅さんの歌声解説でした。
エッジボイス、地声と裏声の使い分け、
このあたりが平井堅さんの歌声の特徴かと。
どちらかというと裏声を上手く使うイメージがあるので、
輪郭のはっきりしたリズミカルな曲とか、
ロックでカッコいい曲とかのイメージではなく、
「魔法って言っていいかな」のような聞かせる曲が合う気がしますね。
・・・歌うの難しいけど、名曲なんだよなー。
みなさんも頑張って歌いこなしてみて下さい!
これが歌いこなせたら、結構な歌唱力です。
それではまたー。
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— でんすけᔦꙬᔨボイストレーナー (@densuke_snail) March 9, 2018
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