【歌声解説】aikoさんの歌唱力を解説


こんにちは。ボイストレーナーのでんすけ(@densuke_snail)です。

歌声解説シリーズ、
今回はaikoさんを取り上げてみたいと思います。

コメントにて、解説リクエストをいただきました。
ありがとうございます。

個人的には、大阪出身、というだけで親近感がわきます。
なんでしょうね、関西人の「我が街のもんやで!」と思ってしまうこの感じは。

テレビ、ラジオや、ライブなんかでも関西弁でしゃべってるイメージがあるので
いい感じで関西のおばちゃんになってもらいたい。そう思います。

そんなaikoさんの歌声解説。



aiko「カブトムシ」

では聞いてみます。
aiko「カブトムシ」

aikoさんの歌唱力1 フォール

フォール。
歌のテクニックの名前としてときどき出てきますが、
語尾の音程をなだらかに落とすというもの。

たとえば、わかりやすいので言うと
0:43あたり「言われてもあたしは弱いーいぃー⤵」

最後の「いー」の伸ばすところ、音程がすとんと落ちていってます。

フォールは、終わり際のロングトーンでよく使われて、
余韻を残して終わる印象を与えてくれます。

aikoさんは、よくこのフォールを使っている印象がありますが、
半音の半音ぐらいだけ落とすことによって、
なんともいえない音程のズレ感で、強烈な余韻を残しています。

フォールに関してはこちらの記事も参考にどうぞ。

22.テクニックを身につけて歌唱力を上げよう!フォール編

aikoさんの歌唱力2 ポルタメント

ポルタメントとは、
音程と音程の間を滑らかにつなげて音を出すこと、です。

たとえば、
0:36あたり「どうした早く言ってしまえ」

「て」の音程をなめらかに下げていって、「し」につなげる感じ。
これがポルタメント。
これも、aikoさんの歌にはよく出てくる。

フォールと似たようなことなんですが、
どっちも「フォール」と呼ばれたり、
どっちも「ポルタメント」と呼ばれたりします。
ここでは分けて書いてみました。

aikoさんの歌唱力3 チョーキング

これもまた、似たようなことなんですが、
今度は「ある音を半音ぐらい下げる」という技。

あんまり歌の技術で「チョーキング」って言わないんですが、
ギターのチョーキングと似てるな、と思って、僕が勝手にそう呼んでます。

たとえば、
1:15あたり「スピード落としたメリーゴーラウンド」
これ、楽譜に書かれる本来の「ファ(F)」の音から、気持ちだけ下がってます。
まさに、ギターでチョーキングした時のような音。

ポルタメントのように、次の音につなげているわけではなく、
次の音は次の音で出し直しています。

「調」のルールから外れるということ

そんなわけで、aikoさんはこの「半音の半音ぐらい落とす」という歌い方を
本当に随所にちりばめて歌ってくるので、非常に独特な空気感がずっと流れていきます。

さらに、メロディの作り方にしても、
本来の調では出てこない音を使ったりしてきます。

たとえば、
0:43あたり「言われてもあたしはいーいぃー」
「よ」わ「い」がソ♭(G♭)なんですが、
この曲の調E♭のキーでは、本来はGに♭は付きません。

譜面で書くと、臨時記号であらわされるやつですね。

カブトムシ aiko

こういう、本来の調にない音を使うのは、
ことPOPSの曲では時折使われるテクニックではあるのでaikoさんに限ったことではないんですが、
僕が言いたかったのは、
本来の調から外れた音を多用しているということ。

メロディの作りも含めて、
歌唱テクニックとして音程をずらすのも含めて、
本来「こういう音が鳴るのが自然」と思っている流れを
ぐいぐい捻じ曲げてくるのがaikoさんの歌の最大の特徴だと思います。

aikoさんの歌声を例えると

aikoさんの歌声を何かに例えてみようのコーナー。

酔拳、ですかね。

aiko酔っぱらってんぞ、という意味ではなく。。
酔拳って、酔ってるがゆえに、通常の人には思いもよらない動作をすることが強み、なわけです。

aikoさんの歌も、通常であればそんな音程の取り方しないよね、
という音の取り方をすることで、意外な印象を与えていたり、
何とも言えない、胸を締め付けてくるような印象を与えていたりします。

この、ちょっと普通じゃやらないよねというところが
酔拳っぽな。と。

あと、ライブとかでガンガン動き回って飛び跳ねてるイメージがあるので
動き回るのも、酔拳っぽいよね。

他のたとえとして、
音をずらしてくる→曲げてくる→スプーン曲げ→ユリゲラー
みたいな連想で「ユリゲラー」に例えようかと思ったんですが、
なんかわかんないけどやめときました。

酔拳で。

まとめ

ということで、aikoさんの歌声解説でした。

独特な音程感あるよなー、とずっと思ってました。
真剣に聞いてみると、随所に、通常の音程感を狂わせてくるテクニックをちりばめてありました。

音程の話ばかり書きましたが、
基本的な歌唱能力がしっかりしているので、
こういう「微妙にずらす」というテクニックを狙ってやることができるのだと思います。

いつまでも、大阪の気持ちを忘れないでほしい、
僕はただそう願っているだけであります。

それではまたー。

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One thought on “【歌声解説】aikoさんの歌唱力を解説”

  1. くれはし says:

    aikoさんの歌は(声やメロディー含め)浮遊感があるなあと思っていましたが、こういったテクニックがあったのですね!わたしは音楽の知識はあまり無いので、「本来の調から外れる」というのは解説されないと分からないところで面白かったです。

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