歌が下手な人は歌手を目指してはいけないのか?音痴でもいいじゃないってこと、筋肉少女帯の大槻ケンヂさんを例にして考える


こんにちは。ボイストレーナーのでんすけ(@densuke_snail)です。

今回は、歌が下手な人って歌手を目指してはいけないの?という話を書いてみます。

僕自身、とあるレコード会社と契約してアーティストの育成をしている関係上、
歌手になるためには?売れるためには?
ということを日々考えていたりします。

その中で考えたこと。



そもそも、歌手ってなんだ

僕のブログを読んでくださっている方は、
歌手を目指すなんて大げさですよ!
ちょっと歌が上手くなりたいだけです!
という感想を抱くかもしれません。

が。
「歌手になる」というのは、いまの時代、そんなに難しい話ではないです。

YouTubeやニコニコ動画に「歌ってみた」と言って動画をアップロードすれば、
それは立派な「歌手活動」です。

歌を歌うだけであれば、「nana」というサービスで、90秒の音声を手軽にアップロードできます。

nana - 歌でつながる音楽コラボSNS
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Developer: nana music Inc.
Price: unknown

 

動画配信であれば、「SHOWROOM」や「17Live」、「LINE Live」など、配信サービスはたくさんありますし、挑戦している人も多いです。

SHOWROOM-ライブ配信ならショールーム
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Developer: SHOWROOM INC.
Price: unknown
17 Live(イチナナ) - ライブ配信 アプリ
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Developer: 17 MEDIA (H.K.) LIMITED
Price: unknown

 

そんな、歌を人に届けるためのツールはかなり充実している現代です。
人前で歌を披露していれば、それだけで「歌手」と名乗っていいです。

「歌」というコンテンツで、相手の感情を動かすことができるひと、
それが「歌手」です。
「なんかわかんないけどちょっとこの人の歌聞いてみよう」って1人でも思ってくれる人がいたら、もうそれは立派な歌手です。

いやでも売れたいよ。CDとかも出したい

誰でも歌手になれる!と言いましたが、
「いやいや、CD出して、売れて、メジャーになりたいし、それが歌手じゃないの?」
という反論もあろうかと。

メジャーアーティストとは、つまり「歌手Lv50」ぐらいの人です。
頑張ってレベルを上げた結果として、CDを出して、売れているわけです。

でも、そういう人たちだって、最初は「歌手Lv1」から始まったはずです。
その頃は、
・歌詞覚えなきゃー
・路上ライブやりたいけど、そもそもやり方わかんねー
・音程とかリズムとか合わねーんだけど
・事務所に所属とかチョー緊張する・・・
みたいなことで、オロオロしていたはずなんです。

いきなり歌を歌って、いきなりCDでメジャーデビューできたわけじゃないんです。

中にはそういう「才能」あふれる人もいるのかもしれませんが、
それは、運よくはぐれメタルでも倒せた、ぐらいの感覚で。
通常の人は、スライムから順番に倒していくもんです。

Lv1でも、歌手は歌手です。
そこからレベルを上げることで、メジャーデビューやらなんやらの話ができる。
まずは、Lv1から始めましょうってこと。

でも、音痴だったら無理じゃないの?

僕が見てるアーティストの卵さんの中にも、
致命的なぐらい歌が下手な人はいます。
大丈夫かな、と思うぐらい。。

歌が下手だったら、歌手なんか無理なんじゃないか?
と思われますよね。
僕も正直、ちょっとそう思います。。。

「ちょっとそう思う」理由は後ほど語りますが、
しかしですよ。
何事も無理と断言できるわけではないのです。

歌が下手な人が、どうやって歌手になるか。
その手段として考えられるのは、2つ。

・歌がうまくなるように練習する
・歌が下手なまま突っ走る

です。

歌がうまくなるように練習する場合は、
うちのブログ記事を読めばいいんですw
理論、考え方、練習方法、いろいろ語っているつもりですし、
なんならうちのブログじゃなくてもたくさん語られてます。

あるいは、ココナラでアドバイスもやってますよ。

時間はかかるかもしれませんが、うまくはなっていくはずです。
実際、僕が見ていた生徒さんも、下手→そこそこ上手くなった人が何人もいます。

でも、それでもうまくなりきれない場合はどうするか。
あるいは、そんなに時間をかけたくない場合はどうするか。

下手なまま突っ走っちゃえばいいんですよ!

歌が下手な歌手の例。筋肉少女帯の大槻ケンヂさん

こんな所で勝手に例として挙げさせていただくのもアレですが。。
歌が下手、と各所で言われる歌手の代表として、大槻ケンヂさんがいらっしゃいます。
筋肉少女帯というバンドのボーカルです。

ファンの間でもちょこちょこ「オーケンは歌が下手だから」と言われますし、
なんならご自身でも、歌下手だからねー、と言っていたとか。

実際、どんなもんか聞いてみましょう。
筋肉少女帯「踊るダメ人間」

 

どうでしょう。
確かに、細かく聞くと音程、リズムが合ってるのか不安になる部分がところどころ。

めっちゃ下手、という感じではないですが、上手い!というわけでもない。
ファン曰く、歌が下手とかどうでもいい、ソウルだ!と。

大槻ケンヂさんの売れ方

で、歌が下手といわる大槻ケンヂさんではあるものの、
じゃぁ売れてないか、と言われると、そんなこともない。

筋肉少女帯には根強いファンが大勢いますし、
少なくとも僕がここで話題にするぐらいには知名度があるわけです。
また、一時期はTVやラジオで、サブカルチャーキャラとしてタレント活動を数多くこなしてらっしゃいました。

売れてるんですよ。歌が下手なのに(超失礼)

なんで売れたか?
理由は簡単にはまとめられないとは思いますが、僕が考えるに、

・歌ではなく、音楽や歌詞のクオリティを上げた
・表現したいように表現した
・「歌が下手キャラ」を作っちゃった
・サブカルチャーという歌とは別のジャンルも攻めた

ということかなと。

下手なことは置いといて、周りを固める

例えば、あなたが歌が下手だとして。
それは、練習でなんとかしていきましょう、となります。

でも、それだとどれぐらい時間がかかるかもわからないし、
最終的にうまくなるかもわからない。

じゃぁ。
例えば、音楽を作れるメンバーを集めて、曲そのもののクオリティを上げるということを考えるのはどうでしょうか。

歌が多少下手でも、曲のクオリティが良ければ、聞いてもらえるかもしれません。
あるいは、キャッチーな歌詞を書けば、耳に残るかもしれません。

実際、「踊るダメ人間」の歌詞、なんだかすごいですよね。
サビのフレーズ「ダーメダメダメダメ人間!(ダーメ!)人間ー、人間ー」ですよ。
なんか、すごい(語彙力)

そんな感じで、得意じゃないことは他人に頼ることも考えつつ、
苦手なところを補うように、周りを固めることができれば、売れるための道筋が見えてくるかもしれません。

音痴なりに、やりたい表現を考える

大槻ケンヂさんの歌について、
実は、そこまで下手じゃないんじゃない?と僕は思っています。

たしかに、さっきも書いた通り、
ところどころ音程、リズムは不安なんです。
あと、喉痛めそうな、むりやり出してる声だなーとも思います。

なんですが。
大槻ケンヂさん、自分の表現したい声を出しているように聞こえるんです。

曲の出だしあたりは軽いトーンで、誰かとしゃべってるのか?みたいな声で歌っていますが、
0:47あたりから、がなり立てるような声に変わっています。
さらに、サビの「人間ー、人間ー」というところ、音程が低いからなのもありますが、低く深めの声になっています。

表現したいニュアンスに応じて、いろんな声を使っています。
あ、この人はこういう表現をしたいんだな、と聞く側にわかってもらうというのは、大事なことだと僕は思います。

歌が下手な人に限らないのですが、
既存の曲を歌う時って、なんとなく、音程リズムを合わせるようになぞって歌おうとするものです。
「こう表現したい」という着地点がない。
歌えてるんだけど、なんか足りないという感じ。

歌が下手な人は、そこへさらに音程やリズムを合わせる基礎力がないことも重なって、
何をどう表現したいのか、聞いてる側として全く分からなくなります。

下手でもいいです。
こう表現したい!という自分なりの意思を持って歌いたいものです。

音痴キャラってのもいいんじゃない?

大槻ケンヂさんの場合、ファンから
「オーケンは歌が下手だからな」
「今回も声が出てなかった、だからオーケンは良いんだ!」
みたいな意見が出るぐらい、音痴がキャラとして定着しているのが特徴です。

これがどうやって定着したのかは、大槻ケンヂさんの歴史を知らないと語れないことではあるのでなかなか難しいですが。

僕が思うに、先ほどの「思ったように表現する」という表現が上手くいっていれば、
「歌は下手なんだけどねー。でも詞は面白いの書けたし、曲もいいし、頑張って歌ってるから、ちょっと聞いておくれよ」
という言い方ができるはずです。

要するに、先ほど出てきた欠点を補うだけのクオリティで周りを固めるということができているからこそ、
欠点を「キャラ」として使える、ということです。
「いい曲っしょ?でもすまねぇ!俺歌下手なんだ!」みたいな。

ブサイクなのに飛び切り明るくて面白い!から、ブサイクが売りになる芸人さんとか。
音痴なのにカワイくてファンサービス旺盛だから、音痴が売りになるアイドルとか。
ダメなヤツなのにすごくいいサービスを作り出すから、ダメさが売りになる会社の社長とか。

色んな例が、世の中にはあります。
欠点を治すよりも、長所を伸ばしたり他人に頼るということを考えてみるのもいいと思います。

歌とは別の能力も育てよう

また、オーケンさんは「サブカルチャー」キャラとしても売れています。

他の人が知らないような知識を知っていたりするので、
そういう知識を使っていろんな表現をされていたりします。

例えば、筋肉少女帯の歌詞にしても、オーケンさんが書いているのですが、
仏教用語や、ちょっとマニアックな小説からの引用、あるいは昔のロックスターの名前など、
一般の人が耳慣れないような言葉を使っている場面があります。

これらの知識、おそらくですが、本人が好きで学んできた知識だと思うのです。
好きで勝手に身につけた知識や能力を活かしているというわけですね。
もちろん、知識を広げるための努力はされているのだと思いますが。

例えば、〇〇オタク、というのを前面に出すアイドルとかもその例ですよね。

歌とは関係のない知識、能力でも、何かの形で活かすことができるかもしれない。
直接音楽の表現に使えるかもしれないし、
全然別の「自己アピール」みたいなことで、自分を知ってもらうきっかけとして使えるかもしれない。
使い方は、自分次第です。

それでも、歌が上手くなりたい!?

と、いうようなことを考えていけば、
「歌が下手でも、歌手を目指していい」と言えるのではないでしょうか!

それでも「やっぱり歌はうまい方がいいでしょ?」というガンコなあなたへ。

そうですね。
歌手を目指すなら、歌はうまい方が、いいです。


でんすけ

やっぱりそうなんかーい!

いやもちろん、歌がうまい方が、歌としての第一印象はいいです。
それは間違いないです。

「歌としてこう表現したい」というものがあったとしても、
歌が上手い方が、表現の幅も広がるし、思った通りにやりやすいです。

それができない「音痴な人」は、表現の幅が狭いわけなので、
歌手としてやっていくのは、無理そうな気がしてしまいます。

でも、それじゃ救いがない。
それに、下手だから表現できないは本当なのか?
なにか表現したいことがあるから、歌手になりたい、と思うんじゃないの?

だったら、
今持っている能力でもって、何を表現するか、何が表現できるかを考えればいいんです。
ここまでいろいろ書いてきた、歌以外の表現方法もひっくるめて。

それは、がなるような歌い方かもしれないし、
音痴のまま無茶苦茶に歌うことかもしれない。
音程なんかない曲を作って、語りみたいな曲にしてしまうのがいいのかもしれない。

トーク力を活かしてアピールするのもいいかもしれないし、
すごくマニアックな話をすれば、ニッチなファンをつかめるかもしれない。
全然ダメなヤツだと思われれば、かわいそうだから歌を聞いてやろうと思われるかもしれない。

自分なりの表現、考えていきたいものですね。

まとめ

ということで、音痴な人でも歌手になっていい!という話でした。

特に、自分を表現するツール、プラットフォームがたくさんある現代だからこそ、言えることなのかもしれません。

自分の持っているブキとは何か、を自覚して、
自分なりの表現を見つけ出していくこと。

歌手をやるにしても、何をやるにしても、
それが一番大事なのかもしれません。

それではまたー。

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One thought on “歌が下手な人は歌手を目指してはいけないのか?音痴でもいいじゃないってこと、筋肉少女帯の大槻ケンヂさんを例にして考える”

  1. らんぷる says:

    歌がうまくなる方法や歌声解説などを中心に、とても興味深く、楽しく読ませて頂いています!
    俳優の北村匠海さんがボーカルを務めるダンスロックバンド・DISH//や、活動を再開したflumpoolの歌声解説なども読んでみたいなと思っています。
    お忙しいと思いますが、都合がよろしいときに、是非よろしくお願い致します!

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