73.1拍めのズレを感じながら歌う!アウフタクトとシンコペーション
こんにちは。ボイストレーナーのでんすけ(@densuke_snail)です。
今回は、アウフタクトとシンコペーション、というテーマでお送りします。
・・・急に出てきましたが、アウフタクト。
なんのこっちゃ、という人も大丈夫。今から説明いたしますので。
また、シンコペーションに関しては、前回の記事でもご紹介しました。
が、今回はもうひとつ違うパターンのシンコペーションを取り上げます。
ノリを感じながら歌う、という際に意識しておくと一味違う歌い方ができる概念かと思います。
ぜひ参考にしてみてください。
それでは参りましょう。
73.1.とりあえず聞いてみましょう
なんだかよくわからないかも知れませんが、とりあえず例を聞いてみましょう。
オフコース「言葉にできない」
名曲やないか。あなたが神か!
と、興奮冷めやらぬ中解説します。
3:45ぐらいからの、最後のさびのところをピックアップします。
これがアウフタクトとシンコペーションや!(ドヤァ
73.2.おさらい、強拍と弱拍
アウフタクトとシンコペーションを説明する前に。
リズムに関して書いた記事でも書いたことがあるのですが、
強拍と弱拍という言葉をおさらいしておきます。
すごくざっくりと言うと1拍目は強拍、それ以外が弱拍です。
で、音楽の基本的なルールとして、メロディは強拍から始まるというものがあります。
つまり、普通は小節の頭からメロディが始まるよ、ということ。
しかし、何事にも例外というのはつきものです。
その例外が、今回取り上げるアウフタクト、シンコペーションなのであります。
73.3.アウフタクト、シンコペーション
さて、もう一度譜面を見てみます。
この譜面の中で、青くなった音符、2小節目の最後ですね。これがアウフタクトした部分です。
アウフタクトとは、本来メロディが1拍目から始まるはずだけど、ちょっと先に始めちゃいました、ということです。
日本語では「弱起(じゃっき)」と言います。
本来は強拍から始まるのに、弱拍から起こってる、ということで弱起、なんだと思います。
上の譜面でいうと、「ほんとに」の部分ですね。
俗に「食う」と言ったりもします。食い気味で始まるということですね。
「ほんとに」は食って入るのね = 「ほんとに」はアウフタクトで早めに始まるのね、という意味。
アウフタクトになることでどんな印象になるかというと、食い気味で入ることで、勢いがつく印象になります。
「ほんとに」を早く言いたくて少し食い気味で始めてしまいました、という感じ。
一方、先ほどの譜面で赤くなっていた休符、これがシンコペーションした部分です。
正確には、シンコペーションの一種、です。
他のパターンは前回の記事も参考のこと。
シンコペーションは強拍をあえてずらすことをいうのですが、ここで出てくるシンコペーションは、
小節の頭の強拍(1拍目)をあえて休符にしている、というものです。
これにより、独特のタメ感を出すことができます。
出だしの「あなたに」の頭が休符になっていることで、
少し言い淀んで、照れくさくていいづらいけど頑張ってあなたに言うよ、というため感を演出しています。
そして最後の「よかった」。これも頭が休符。
言葉をかみしめるようにして、押し出すように一言、「よかった・・・」というわけです。
・・・泣けてくるやないか。なんだただの神曲か!
73.3.アウフタクト、シンコペーションの注意点
涙をぬぐいながら解説を続けます。
先ほど紹介したアウフタクト、シンコペーション。これを歌うときの注意点として。
当たり前ですが、頭が1拍目じゃないということです。
ちゃんとどこから入るのかを把握して、拍を数えておかないとズレやすいので注意です。
また、いずれもアクセントは1拍目です。
「ほんとに」のアクセントは「ん」にあります。「ほ」は強すぎず、少し添えるぐらいの雰囲気がいいと思います。
「ほ」を添えるように出しながら徐々に上がっていきつつ、「ん」でアクセントが強くなる!という流れにするときれいに流れるかと。
また、「あなたに」、「よかった」の出だしの休符は、休む、というより「止まる!!」というイメージ。
「うっあなたに・・・」、「ぐっ・・・よかったッッ・・・!」
大げさに書くとこんな感じです。「うっ」とか「ぐっ」は実際に言わなくてもいいですけどね。
いわゆる、気持ちを入れて歌う、というのも、こういう所に表れてくるものです。
音楽理論と、感情をこめて歌うことは、案外つながりが深いものかもしれません。
73.4.アドリブでアウフタクト、シンコペーション
前回のシンコペーションの話で、わざとずらして歌うというある種のテクニックを書きましたが、
今回のアウフタクト、シンコペーションも、アドリブでずらすときに使えるんちゃう?
ということでやってみたいと思います。
まずは、シンコペーションの方を試してみます。
赤いところがやってみたところ。
音で聞くとこんな感じ。
元の曲を知ってるだけに、ものすごくためてる感じがしてしまいますが。
変ではないけど、全部ためながら歌うのもちょっと重いかな、という印象はあります。
ほんとに泣きそうになって、言葉に詰まりながら、という印象だとこれでもいいのかも。
次、アウフタクト。青いところがそれ。
音で聞くとこんな感じ。
ん?なんか歌詞変わっとるやないか。
そうなんです。先ほども書いた通り、アウフタクトで先に始まる音は、添えるぐらいのイメージになります。
なので、1拍目の音を前に伸ばして、「あーえーて」としてしまうと、カッコがつかなくなります。
流れでなんとかなる曲もあるとは思うのですが、アウフタクトを付け加える場合は、新しい音を添える感じになることが多いと思います。
アドリブでこれをやるのは難しいくてあまりおススメできないかな、という感じですね。
シンコペーション、アウフタクト、いずれも印象がかなり変わるものです。
アドリブでやるにしても、一度練習で確かめてからやらないと難しいかもしれません。
まとめ
ということで、アウフタクトとシンコペーションの話でした。
1拍目はメロディの頭になる部分ですが、これをあえてずらす、というのが今回のポイントでした。
少し食って始まるのがアウフタクト。
遅らせて始まるのがシンコペーションですね。
いずれにしても1拍目がアクセントになることは、歌うときの重要なポイントです。
印象が非常に強いものなので、アドリブで使う場合は注意しましょう。
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— でんすけᔦꙬᔨボイストレーナー (@densuke_snail) March 9, 2018
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