78.ボーカルも他の楽器を知っとこう!ベースの仕組と役割、絡み方

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こんにちは。ボイストレーナーのでんすけ(@densuke_snail)です。

今回はベースの仕組みの説明です。
前回の記事ではドラムを扱いましたが、その続き、ベースです。

ベースというと、皆さんはどんなイメージを持たれるでしょうか。
あまり目立たないとか。何やってるかわからないとか。
人によっては、どれがベースの音かわからない、という人もいます。

そんな影は薄いけど重要な楽器、ベースを解説していきます。
ドラムほどいろいろ説明することはありませんが、
音楽をやるなら一般教養として知っておこうレベルの解説はしておきたいと思います。

それでは参りましょう。



78.1.いきなりですが歌ってみてください

ちょっと前回と同じ曲ですが、Superflyの「愛をこめて花束を」
Aメロの一節だけ、歌ってみてください。
ドラムだけ鳴らしますので、なるべく原曲を聞いていない状態でどうぞ。

「二人で写真を録ろう 懐かしいこの景色と
あの人同じポーズで おどけて見せて欲しい」です。

どうでしょう。歌えました?

ちょっと極端なことをしたのでアレですが。
基本的にアカペラで「はいどうぞ」と言われて歌っても、まず音程が合いません。
音感がかなり良い人は合うかもしれませんが。

あと、ドラムだけだとノリ方がわかりづらくないでしょうか。
特にDAWで打ち込んだドラムだからというのもありますが、機械的にテンポを刻んでいるような。

前回ドラムがリズムを刻む基本的な楽器だと書きましたが、ドラムだけでは音程も、ノリ方もわかりづらい。
そこで、他の楽器、とりわけベースの役割が重要になってきます。

78.2.ベースの音と役割

ベースを鳴らしてみると、こんな音です。

低音のパートを担う楽器、それがベースです。
低音を担う楽器、というのは音楽にとって重要なポジションです。
低音であるがゆえに一番前に出て目立つということがあまりないポジションではありますが、これがないのとあるのとでは大きく違います。

ベースの主な役割を三つ挙げてみます。

  • リズム感、グルーヴ感を出す
  • コード感を支える
  • 低音に厚みを出す
78.2.1.リズム感、グルーヴ感を出す

前回の記事で、リズムを刻むのはドラムの役割って書いてあったじゃん!と思われるかもしれませんが。

それはその通りなのですが、ベースはドラムの刻むリズムをさらに補助するような役割も担います。
例えば。

Bメロをドラムだけにしてみました。
「約束した通りあなたと ここに来られてほんとによかったわ
この込み上がる気持ちが 愛じゃないなら 何が愛かわからないほど」

これだけでも歌えなくはないですが、細かくハイハットを刻んでいたり、スネアがたまにしかならなかったりして、
ちょっとリズムが取りにくい気がしませんか?

これにベースを乗せるとこんな感じ。

歌いやすくなった感じ、しません?

これは、リズム感、グルーヴ感をどのように感じていけばいいか、というのを
ベースが補助をしてくれているためにわかりやすくなっている、ということが一因です。

特に前半の「約束した通りあなたと ここに来られてほんとによかったわ」あたりは、
ドラムは静かだけど細かくリズムを刻んでいるのに対し、ベースラインがゆったりと音を伸ばしています。
ボーカルはこのベースラインに乗って、細かくリズムを刻みながら歌うのではなく、
大きくリズムを感じながらゆったりと歌うことができるようになります。

78.2.2.コード感を支える

コード感??という方もいらっしゃるかもしれませんが。
コードはわかりますかね。楽譜なんかでたまに「Cm」とか「FM7」とか書いてあるアレです。

コードというのは、すごく簡単に言うと、その場で鳴らしていい和音が決められているということです。
コードがCのところは、「ドミソ」の和音を鳴らしといたら間違いないよ、Fだったら「ファラド」だよ、ということです。

以前、音名の説明の記事でもまとめましたが、「ド」=「C」です。
コード名で「C」と言った時は、「ド」を基準にして、「ミ」と「ソ」を乗っけるように和音を構成します。
「F」なら「ファ」を基準に、です。

この基準になる音をルート音と呼びます。
ベースは、このルート音を弾いている、ことが多いです。
そうすることで、今のコードって「C」なんだー、というのがわかりやすくなるため、音楽の構成の基本としてルート音を低音で弾くことが多いのです。

先ほど、ドラムだけで歌ってみて!とやりましたが、あれにベースがついてくれると、音程がわかりやすくなります。
それは、ベースがコード感を支えるためにルート音を弾いてくれているから、というわけです。

試しにAメロにベースを乗っけてみます。

先ほどのドラムだけのものよりも歌いやすくなったかと。
コードのルート音をメインで弾いているため、何も音がない状態よりも音程が取りやすいと思います。

78.2.3.低音に厚みを出す

これはボーカルには直接関係ないかもしれませんが、ベースがいるのといないのとでは、曲全体の音の厚みが違います。

先ほどのコード感を支えるという役割も相まって、ベースがいないと寂しく聞こえるのと、なんとなく音程も取りづらい印象になるかと思います。

低音に厚みを出す、というのはいわゆる「ベース」という楽器が無ければいけない、というわけでもありません。
例えばピアノソロの場合、左手がベースの役割をして低音を弾いています。

オーケストラでいうと、弦楽器ではコントラバス、ときどきチェロ。
管楽器ではチューバやトロンボーン、ファゴット、バスクラリネットなど
低音を担う楽器が存在して低音を支えています。

もちろん、低音がなくても成立している曲はありますし例外はたくさんあるとは思いますが、
あくまで基本的な形はそうだ、ということで。

78.3.ボーカルはベースをどう聞くか

いろいろ書いてきましたが、要するにボーカルはベースをどう聞いといたらいいのか。

ボーカルとしては、ドラムとベースで作り出したリズムにうまく乗ってあげるのが基本です。
ドラムがキッチリしたテンポ、リズムを刻んでいて、それに対してどういうノリ方をすればいいのかをベースが教えてくれます。
それに乗って、そのグルーヴ感がお客さんに伝わるように歌うのがボーカルの仕事です。

また、ベースにはコード感を支えてもらっているので、音程を取るためにベースを聞いておいた方がいいのですが、
これはずっと真剣に聞いているというよりも、鳴っている音をなんとなく横で聞いてる、ぐらいの感覚が近いかと。
支えてもらっているとは言っても、ボーカルと別のメロディーラインを弾いていることも多いので、100%真面目に聞いていると変につられてしまうのでご注意を。

試しに、ベースが間違えた音を弾いてしまうパターン。
Aメロの頭から一緒に歌ってみてください。

どうでしょう。一カ所だけベースを変な音にしたのですが、んん??ってなりません?
でも、何が間違えたのか、なんとなくよくわからない感覚ではないでしょうか。
本当はベースが間違えているのですが、ボーカルまで音を見失ってしまう感覚になります。

正解は、後半の「おどけて」のところ。ベースが少し低すぎる音を弾いてしまって不協和音になっています。
何となく聞いているだけでも違和感を感じます。
あれ、いま俺、声高すぎたかな?という感じです。

これに関しては、ちょっと極端な例だったかもしれません。
ボーカルはベースだけじゃなく他の音も聞いて音程を判断しているので、一概にベースだけが重要と言うわけではないですが、一音おかしくなっただけでも不安になる感じがわかっていただければ、ベースの威力を感じて頂けるのではないかと。

まとめ

ということで、ボーカルも他の楽器を知っておこう、ベース編でした。

大半の曲は低音を担う楽器が存在しています。ポップス、ロックではエレキベースであることが一般的ですね。

ドラムとベースでリズム、グルーヴ感を出してくれていますので、ボーカルはそれに乗っかって歌うことが重要。
音程を確かめるためにも、ベースが鳴らしてくれている音を頼りにすることがありますので、ベースって何弾いてるかわからない、ということにならないようにしておきましょう。
少なくとも、キメどころ、ここはベースを聞いておかなければ!というフレーズはしっかりと押さえておくことをお勧めします。

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