89.喉を鍛える?歌が上手くなるために直しておきたい勘違い知識
こんにちは。ボイストレーナーのでんすけ(@densuke_snail)です。
今回は「喉を鍛える」というテーマでお送りします。
よく、言いませんか?あの人が、あの歌手が、歌がうまいのは喉を鍛えているからだ、とか。
喉を鍛えるとはどういうことか?
そもそも、本当に鍛えられるものなの?
というところ、解説してみようと思います。
89.1.そもそも「のど」って何者?
一言で「のど」、「喉」と言っても、ぼんやりと首のあたりだな、というのはわかるかと思いますが、
さて、具体的にはどこのことを指しているのか。
歌を歌う際に言われる「喉」というのは、声帯まわりの器官のことを指していることがほとんどかと思います。
口から肺にかけて空気の通り道がありますが、首のところ(のどぼとけの後ろ側ぐらい)に声帯があります。
そして声帯の前後の空気の通り道のことを気管と言います。
「喉」というと、この辺のことを指していることになるわけですね。
89.2.声がかれるほどのトレーニングで何が起こるか
喉を鍛える、という言い方で勘違いされること多いのは、
先ほど出てきた声帯を鍛えると思われているということです。
例えばカラオケに行って、声がかれるまで歌ったたりすると、なんとなく喉を鍛えたなーという感覚になったりしませんか?
それは、もしかしたら勘違いかもしれません。
声がかれているとき、それは声帯が炎症を起こしていることが主な原因と考えられます。
声帯の表面は粘膜に覆われています。
唇とか、口の中の表面を見ると、テラテラぬめぬめしていますが、それと同じ感じです。
この粘膜の部分が炎症を起こして声がかれていると考えられるわけです。
で、粘膜というのは、筋肉と違って、傷ついたからと言って成長しないのです。
筋肉の場合、筋トレで筋肉を傷つけることで、超回復して筋肉が強くなる!ということが起こるのですが、
粘膜の場合は、ただただ回復するだけで、別に強くなることもありません。
ボイストレーナーがしきりに「声がかれたり喉が痛くなったら練習するな」と言うのはそのためです。
声帯の粘膜が傷つくだけで、なんの効果も出ないからです。
また、そのまま声帯に負荷をかけると、ポリープなどの病気に発展する可能性があるからです。
89.3.喉は鍛えられないのか
ということは、喉、つまり声帯というのは鍛えることができないのか。。。
と思われるかもしれませんが、それも早合点かもしれません。
声帯というのは、声を出したり呼吸をしたりするために、閉じたり開いたりします。
先ほどの画像でいうと、声帯の真ん中に暗い空洞があると思いますが、ここが閉じたり開いたりするわけです。
その空洞の部分を声門と呼びます。
呼吸をする時は声帯が邪魔になるので、声門を開いて空気を通してあげます。
逆に、声を出すときには、声門を閉じて、狭い間に空気を通して声帯を震わせます。
音程を変えるために伸びたり縮んだりします。
この声門、声帯の動きは、筋肉による運動です。
ということは。
声を出す≒声帯を動かすことで、声帯を動かす筋肉を鍛えられるということか!
そうです。
歌が上手く歌えないというのは、声を出すために必要な筋肉の筋力が足りなかったり、
うまく筋肉が動かせなかったり、関係する筋肉たちの力のバランスが取れなかったり
そういうことが原因になってきます。
そのために、発声練習でいろんな声を出してみたりして、
うまく筋肉を動かせるように練習しているわけですね。
つまり、喉が鍛えられたと感じるのは、
声帯に無理をさせる=粘膜を傷つける歌い方をしたからではなく、
正しい発声をするための筋肉の動かし方がわかってきたから、ということです。
まとめ
喉を鍛える、ということについて書いてみました。
大事なのは、声がかれたり喉が痛くなったりしたら練習をやめるべし、ということです。
喉がダメージを受けても何もうれしくないですからね。
喉が強くなった気がするのは声帯が上手く動かせるようになったから、です。
正しい発声を自然にできるように、体を慣れさせてあげるために、
発声練習をしたり、何度も歌ったりすることが必要です。
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— でんすけᔦꙬᔨボイストレーナー (@densuke_snail) March 9, 2018
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