ポケットビスケッツ千秋さんの歌い方、歌唱力を解説
こんにちは。ボイストレーナーのでんすけ(@densuke_snail)です。
今回は、ポケットビスケッツの千秋さんの歌声について解説してみたいと思います。
コメントでリクエストいただきました。
ポケットビスケッツ!略してポケビ!なつかし!
と思う人は、なかなかの昭和世代ですね!
僕もです!
ポケビを知らない人は、
あぁ、そんなグループがあったのね、と思ってください。
千秋さんがボーカルを務めて
ウッチャンナンチャンの内村さんとウド鈴木さんがキーボード(のふり)
というグループですね。
当時は一世を風靡したものですが、
現在の千秋さんしかご存知ない方は、
歌も出してたの!?となるかもしれません。
そんなポケビ千秋さんの歌声解説。
Yellow Yellow Happy
では聞いてみましょう。
ポケットビスケッツ「YELLOW YELLOW HAPPY」
ポケビ千秋さんの歌唱力1 しゃべる声と違う歌声
第一印象として。
千秋さんがしゃべってる様子って、
ちょっと天然キャラでかわいらしくしゃべってる印象があると思うのですが。
その声と、歌っている時の声がかなり違う印象になっていますよね。
歌を歌うときの声の出し方と、
しゃべっている時の声の出し方は必然的に違うものになるのですが、
千秋さんの場合は特に顕著な気がします。
千秋さんの歌い方は、
ハイラリンクスにならないように気を付けながら声を出しているような声に聞こえます。
ハイラリンクスとは、
声を出すときにのどぼとけが上に上がってしまう現象のこと。
上がりすぎると、のどが締まって声が出にくくなります。
で、千秋さんの場合、
意図してか、無意識かはわかりませんが
のどぼとけを下げようとしているように聞こえます。
が、やりすぎてちょっと声がこもり気味になって
しゃべっている時と違う声質になっているものと思われます。
ポケビ千秋さんの歌唱力2 なかなかの高音
サビに出てくる最高音がhiC#、
このhiC#がかなり連続的に続くので
結構しんどい曲ではありますが。
なんとか頑張って声を出し続けている感じに聞こえます。
また、全体通しての最高音が、動画4:29あたり
「happyのた『め』に」がhiD#です。
一音だけではありますが、最高音もしっかり出せていますね。
ちなみに、hiC#やhiD#などの音名が分からない方は
こちらの記事も参考にどうぞ。
千秋さんは歌が上手いのか、下手なのか?
ポケビの歌声解説リクエストを頂いたコメントにて、
「千秋さんは歌が上手いという人、下手という人が半々ぐらい」
というコメントがありまして。
でんすけさん的にはどうなの?と聞かれておりました。
僕の個人的な見解で言うと、
「そこそこ上手い」でいいんじゃないかと思います。
まずそもそも、千秋さんは歌手ではないので、
超絶うまい!というわけにもなかなかいきませんよね。
たまに素人なのにスゲー上手い、みたいな人もいますけど。
そういうのは稀なケースです。
で、先ほどから書いている通り
ハイラリンクスを回避しつつ、高音をしっかり出している
というところは、「そこそこ上手い」評価でいいのだと思います。
逆に、マイナスポイントを挙げるとすると、
・音程が不安定
・高音は出せてるけど危うい感じ
・ハイラリンクス回避による声質に違和感を感じる
・ところどころテンポについていけてない
という感じですかね。
・・・たくさん挙げましたが。。
いや、普通はそんなもんです。
人前で歌って大崩れしてないレベルなので、十分なんですけどね。
おそらく、上で挙げたマイナスポイントあたりが、
「下手だ」と評価している人のポイントにつながっているんだと想像します。
ではちょっと、それぞれの項目について解説してみます。
音程が不安定
0:26あたりの「いつ『かー』太陽が消えて」
この「か」、急激に音程が下がりますが、
上手く音程が当てられておらず、探りながら音程を当てにいっています。
その直後「『太陽』が消えてなくなる」
音程がトントントンと上がっていくところですが、
一つ一つの音程のブレが大きいです。
0:56あたりAメロのフレーズ「欲張りなわた『しー』」
音を伸ばすところの音程のブレがみられます。
・・・などなど、細かいところをつつくとキリがなくなりますが。
つまるところ、音程を安定させる、という基礎が揺らいでしまっているので、
どのフレーズをとってもちょっと音程が緩いな、という印象につながってしまうのかと。
高音は出せてるけど危うい感じ
例えば、0:16あたりの「またわた『し』に生まれたい」
この「し」、音が上がって高音になる所ですが、
すこし力を入れて、えいやっ!と声を出しています。
このように急に音が上がる箇所は、
力んで声を出してしまいがちです。
あと、これは少し微妙ですが。
0:23あたり「生き抜いてきたんだから いつか」
この「だから」と「いつか」の間。
ブレスを入れていません。
これ、おそらくなんですが、
ブレスを入れずにそのまま続けた方が楽だから、
ということだと思われます。
ここでブレスを入れると、もう一度高音の「い」を出し直さないといけません。
でも、一息で続けると、勢いで出しやすくなる。
そのために続けているように聞こえます。
そんなところから、
高音は出せてはいるけれど、
なんとか頑張って出している、という印象があります。
ハイラリンクス回避による声質に違和感を感じる
これは、上で書いたハイラリンクスを回避する、という話に通じますが。
やりすぎて声がこもってしまっているパターンです。
ハイラリンクスを回避させるために、
のどぼとけを引き下げる筋肉も動くのですが、
その筋肉、あまり普段使われないため、
上手く動かすには練習が必要なんです。
その引き下げる筋肉が、
思っているほどナチュラルに動かせていない、
というのがこの現象の原因ではないかと思います。
ところどころテンポについていけてない
高音を何とか出している、
筋肉の動きに慣れていない、などの理由もあり、
またそもそも曲のテンポも早いので、
すこしテンポについていけていないところがあります。
0:28あたり「太陽が消えてなくなる『前に』」
この「前に」が早口なのですが、
すこしだけ早めに声を出し始めて、ゆったりとさせています。
・・・テンポについていけてない、と断定気味に書きましたが、
表現として、あえてゆったりしたリズムにしたのかもしれません。。
が、おそらく。
元のテンポのまま「前に」を言うのが大変なので
あえてゆったりさせている、のではないかと思います。
まとめ
ということで、ポケットビスケッツ、千秋さんの歌声解説でした。
・・・指摘を多めに書くと、批判している記事みたいになりますが。。
僕、わりとこの曲好きなんですよ。
誤解の無きよう・・
先ほども書きましたが、千秋さん、歌手というわけじゃないので
歌唱力としても、「そりゃ普通はそんなもんよね」という感じだと思います。
テンポも早く、そこそこの高音が連続で出てくるため、
難しい曲ではあると思うのですが、
大崩れしてないだけでも十分ではないかと思います。
ただ、冷静に分析してみると
「ここではこういうことが言えるよ」
ということです。
読んでいる方に参考にして頂いて、
カラオケなどで歌う際に活かしていただければ良いかと思います。
それではまたー。
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激遅で流行りに乗って、質問箱作ってみました。
— でんすけᔦꙬᔨボイストレーナー (@densuke_snail) March 9, 2018
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うわー、早速の解説ありがとうございます!
上手い人と下手な人に分かれた理由もよく分かりました!
まさかポケビの曲をこんなに専門的に解説してもらえるなんて、
子供の頃には考えもしませんでした笑
とてもタメになり、おもしろかったです。
あの独特な声の元になっているというハイラリンクスも気になったので、記事を読んで勉強させていただきます。
ありがとうございました!
勉強になりました!千明の声大好き世代です。千明の声って子供ながらに、子供(おねえちゃん?おねえさん?)が歌っているようだから親近感があって好きでした。解説があることで、な~るほど!と思いました。
あと、千明の歌声ってビブラートが効いてない歌い方ですよね。だからなのか、この記事で技術力って感じで言われてる部分が、力んで歌っているからか「いくぞおおお!!」って感じで聞こえてて良いのです。元気が貰えます。
POWERだと
「予報ハズレの土砂降りみたい~」良く言えば愛着のある感じ、おねえちゃん。悪く言えば素人感。
POWER「みーなーみーかーぜが~」み~な~み~、でパワーを充填、ドッカーン!「ところまで~」のハモリで盛り上がり!
みたいな(笑)すみません。
パッパラー河合さんとの相性も最高だったですよね。
当時はブラビ、宇多田ヒカル、モーニング娘、いい時代だったな~!と思います。