【歌声解説】米津玄師さんの歌い方、歌唱力を解説
こんにちは。ボイストレーナーのでんすけ(@densuke_snail)です。
今回は米津玄師さんの歌い方を解説してみようと思います。
米津玄師って誰?って人もそうでない人も。
ぜひご覧くださいませ。
目次
米津玄師って誰?
ここ数年で一気に出てきた、若手アーティストさんです。
「よねづけんし」と読むそうです。
2009年あたりから「ハチ」という名前で
ニコニコ動画でオリジナル曲を配信していたところから人気に火がつきました。
「ハチ」さんのニコニコ動画の投稿はこちら
ニコニコ動画でも数百万回の再生回数を記録した人気ぶりでしたが、
いまやメジャーになりましたね。
Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅなどをプロデュースする中田ヤスタカさんとコラボもしてました。
僕自身の話でいうと、若い生徒さんにボーカルレッスンすることが多いんですけど、
最近、よく「米津玄師が歌いたい」と持ってこられることが増えてきてます。
若者に人気のアーティストさんだなぁと思います。
米津玄師 × 中田ヤスタカ「NANIMONO」
ちなみに。
米津玄師さんと中田ヤスタカさんとのコラボ作品は
「NANIMONO」という曲。
2016年公開の映画「何者」の主題歌として作られた曲です。
米津玄師さんの、もがきながらも前を向くような歌詞と、
中田ヤスタカさんのデジタルポップが融合して
聞きごたえのある作品となっています。
米津玄師「アイネクライネ」を聞いてみる
さて、「NANIMONO」で歌声解説をしてもいいのですが、
米津玄師さんの曲で解説をしてみたいと思います。
ということで。
米津玄師「アイネクライネ」
落ち着いた雰囲気の声ですよね。
こういう、じっくり沁みさせる曲をとうとうと歌い上げるのに合った声、ではないかと。
ちなみに、作詞、作曲、そして動画のイラストも、全部自分で作ってるんだとか。
米津玄師さんの歌唱力1 力の抜けた歌い方
非常に、力の抜けた声の出し方になっています。
無理なく狙った声を出せている感じ。
無駄な力を入れていない、脱力できている、というのがポイントです。
・・・と言葉で言うのは簡単ですけどね。
こちらの記事も参考になるかもしれません。
で、力の抜けた歌い方になっている理由がもうひとつ。
母音と子音を滑らかにつなげた歌い方をしているということです。
どういうことかと言うと。
例えば、Aメロ。0:07あたりからの
「当たり前のようにそれらすべてか悲しいんだ」
これ、母音と子音をつなげている箇所を示してみると
「あたりまえ『のよ』うにそれらす『べて』が『かな』しいんだ」
という感じでしょうか。
他の箇所もいろいろ聞いていると、
特に、タ行、ナ行、ラ行の発音をわざと崩しているところが多いように感じます。
先ほどのフレーズを、むりやり米津さんの歌い方っぽく文字にし直してみると、
「あたりまえぬょーにそれらすべれーがかーぬしいんだ」
という感じでしょうか。
・・・文字にするとすごいシュールですね。
こんなにはっきり崩れてるわけじゃないんですが、ニュアンスでとらえて頂ければ。
米津さんの場合は、これを狙ってやってます。
はっきり発音するところは、はっきり発音していますのでね。
ここは崩した方がつながりが出ていい感じだな、という所を崩しています。
そのために、いい意味でアンニュイな雰囲気が出せているわけですね。
米津玄師さんの歌唱力2 しゃくりの使い分け
1:17あたりからのサビ
「消え『な』いか『な』しみも」のところ。
『な』が2つとも、しゃくり上がって、
ゆっくりと音程が上がっている感じですね。
一方、その後の1:23あたりから
「それでよ『か』ったねと」
ここの『か』はしゃくり上げず、一気に高音に持ってきています。
しゃくり上げと、すぐに高音に上がる歌い方を
使い分けています。
しゃくり上げることの意味は、
アンニュイな雰囲気に合わせて少しねっとりさせるという意味と
一気に高音にいかないことで楽に高音に届かせることができること。
逆にしゃくり上げない感じだと
印象がはっきりして発音の輪郭が出ます。
また、この曲の例でいくと
「よかった」の「っ」で一瞬音が止まるため
しゃくり上げない方がリズム感が鋭くなります。
雰囲気に合わせて使い分けられると、いいですね。
しゃくりに関しては、こんな記事もどうぞ。
テクニックを身につけ歌唱力を上げよう!しゃくり編
米津玄師さん「アイネクライネ」カラオケのコツ
カラオケで歌う場合のコツ、というか、注意点、というか。
落ち着いた声で歌う人って、なんとなくキーが低そうなイメージがありますが、
意外とサビなんかは高いところまで上がります。
「消えないか『な』しみも」の『な』のところがmid2G#です。
男性にとっては、ちょっとしんどくなる音程。人によっては出しにくいかも。
こういうの、ノーマークで急に高い音が来たりすると、全然出せないことがあるので、
少なくとも、ここは高いんだぞ、ということを知っておいて、
サビの最初から「高い声」モードで歌うのがいいと思います。
また、以前もこんな記事の中で「アイネクライネ」を取り上げたこともあります。
Aメロに、地味に音程が外れやすい箇所があります。
「今 痛いくらい幸せな思い出が」のところ。
じわじわと音程が下がっていく感じとか、その合間合間に短めのロングトーンを挟む感じとか。
かなり丁寧に歌ってあげないと音程が安定しにくいので注意です。
ちなみに、こういう音程を外しやすいパターン、
練習用の音源もあります。
こちらで練習してみるのも有効かと。
まとめ
ということで、米津玄師さんでした。
注目の若手アーティストですね。
落ち着いて、アンニュイな歌いまわしが魅力の歌い手さんです。
発音の崩し方が、独特でいい感じですね。
カラオケで歌う場合は、地味に音程が取りにくいポイントなんかもあるので、
丁寧に歌うように心がけましょう。
それではまたー。
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— でんすけᔦꙬᔨボイストレーナー (@densuke_snail) March 9, 2018
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