60.シンプルに歌を上手くする!テクニックを引き算する考え方
どうも。ボイストレーナーのでんすけです。
今回は「テクニックを引き算する」というタイトルでお送りしようと思います。
どんな歌でもそうなんですが、ちょっと歌が上手くなってくると、また色んな声を出せるようになってくると、とにかくテクニックを盛り込みたくなってしまうものです。
カラオケで「すごいね」と言われるけど、「上手いね」とは言われないパターンです。
いや、言われるかもしれませんけどね。僕は認めませんよっ!
あるいは「イキってる」という言われ方をするかもしれません。
こういう表現の方がしっくりくるかも。
テクニックを「盛りすぎてる」方、いらっしゃいませんか?
あれです、お化粧でいう「厚化粧」と同じようなことですね。
なんでもやりすぎは良くないということです。
心当たりのある方も、ない方も、読んでみてください。
シンプルに歌う歌い方、解説します。
60.1.テクニックを盛りすぎてるってどんな感じ?
実際にどんな感じのことを「盛りすぎ」と言っているのか。
以前僕が歌ってみたL’Arc-en-Cielの「HONEY」を例にしてみます。
で、これを、かなり盛って歌うとこんな感じ。
どうでしょうか。
好みもあると思うので、ワンフレーズぐらいならこれでも聞いていられるかもしれませんが、
どうにもコッテリしすぎて、耳障りではないかと思います。
ちなみに、普通に歌った版はこっち。
先ほどの「盛ってある」方を聞いてからこっちを聞き直すと、すごく聞きやすい感じがしませんか?
60.2.そんなに盛ってる人、います?
ちょっとでんすけさん、大げさにやってんちゃいますのん?と言われるかもしれませんが、そんなことはないですよ。
ここまでクセの強い人も実際に、割と多くいらっしゃいますので。
こうなっている人は、だいたい以下のどちらかです。
- 気づいていない
- これがイイと思ってる
まず、盛ってしまっていることに気づいてください。
そして、それがほんとにイイかどうか、改めて考えてみてください。
もちろん、曲によってはやりすぎるぐらいがイイ、という時もあります。
上で例に挙げたラルクなどのビジュアル系は特にそういう傾向が強いように思います。
なので、敢えてビジュアル系を例に挙げてみましたが、それにしてもやりすぎ、ということは往々にして起こりえます。
60.3.「盛っている」の正体ってなに?
この「盛ってる」感じになっているのは、聞いてみてなんとなくわかっていただけると思うのですが、
じゃあいったい何が「盛ってる」ように聞こえさせるのか。
何を直せば盛っていないように聞こえるのか。
先ほど歌った例でいうと
- しゃくりあげの多用
- フォールの多用
- 発音を崩しすぎ
ということですね。
しゃくりについては、
「ずっと」の「と」の部分、「遠く幼い頃」の「おさない」の部分、
「今も色あせた」に至っては「あ」「せ」「た」とぐいぐいやってたり。
フォールについては、
「ずっと」の「と」の切り際、「眺めていた」の「た」の切り際
などフレーズの終わり際に随所に出てきます。
発音の崩れについては、
「遠く幼い頃から」が「遠くおしゃないきょろから」などの子音の崩れや
「真っ白な壁に」が「めっしろねきゃべねぃ」のように母音が崩れている箇所が随所に。
いずれも、カッコよく聞かせるために入れてもいいテクニックです。
が、すべての箇所にやってしまうと、ゴテゴテしすぎてしまいます。
盛り込みすぎたテクニックを引き算することを考えましょう、ということです。
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60.4.なぜ「盛って」しまうのか
人はなぜ盛りすぎてしまう生き物なのか。
それはこんな理由からです。
- カッコいいテクニックはどこに使ってもカッコいいと思っている
- 歌唱力に不安があって、できるテクニックでカバーしたい
1点目は、思い込みですね。
同じテクニックばかり使っても飽きますし、アクセントとしてたまに入ってるのがいいのです。
料理に入ってるタバスコみたいなもので、
辛いのがおいしいよね、と言っても、ドバドバかけすぎるとかえって食べられなくなるというアレです。
2点目のテクニックでカバーしたいというのは、気持ちはわかります。
確かに、目立つテクニックを入れてあげると、音程やリズムが多少ずれてても印象がうすくなります。
が、それが「盛りすぎ」につながるのであれば良くないですよね。
まずは素直に歌うこと。歌唱力はその後からついてきます。
まとめ
ということで、テクニックの引き算、という考え方を書きました。
自分の歌が、テクニックだらけでクセが強くなってしまっていないか、今一度ふりかえってみてください。
どの程度テクニックを盛り込むのがいいのか、というのは好みや感覚によるものが大きいので一概には言えないとは思いますが。。
一度シンプルに歌ってみて、なにかひと味足りないな、という時だけ盛り込んでみる、
という具合がちょうどいいのではないかと思います。
参考にして、自分の歌を見直してみてはいかがでしょうか。
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